米上院可決の台湾旅行法案、米中の新たな火種に、中国メディア「戦争」にまで言及し警告

米上院可決の台湾旅行法案、米中の新たな火種に、中国メディア「戦争」にまで言及し警告

米上院が可決した「台湾旅行法案」が中国との間で新たな火種になりつつある。米台双方の高官往来が可能になる内容で、中国政府は「一つの中国の原則に反する」と反発。一部メディアは「戦争」にも言及して警告している。写真は台湾。

2018年3月9日、米国の上院が可決した「台湾旅行法案」が中国との間で新たな火種になりつつある。米台双方の高官往来が可能になる内容で、中国政府は「一つの中国の原則に反する」などと反発。一部メディアはトランプ米大統領が署名して成立すれば、「戦争」に発展する可能性にも言及し警告している。

台湾旅行法案は2016年9月、米下院に提出され、上院では否決されていた。今回、上院が2月28日に可決したのは中国への警戒感が背景にあるとみられる。上下両院での一本化協議を行い、最終的にトランプ大統領の署名を経て成立するという手続きが必要になる。

米国は1979年の中国との国交正常化後、台湾との外交を自粛し非公式な関係を保ってきた。法案には、米政府は米台間の全レベルの官僚の相互訪問を奨励すべきだとする米議会の意見が記されており、具体的な内容として▽閣僚級の国家安全保障高官や軍将官、行政機関官僚を含む全てのレベルの官僚の台湾訪問、相手方官僚との面会の許可▽米国を訪問する台湾高官個人の尊厳を尊重する形での受け入れや、国務省、国防総省、その他閣僚級高官との面会許可―などが挙げられている。

法案可決を受け、台湾総統府の黄重諺報道官は米議会が長期にわたり各領域で台湾を固く支持してくれたことに謝意を表明。「国際社会の一員として、台湾は今後も引き続き米国とより堅実な協力関係を築き上げ、共同で地域の平和と安定、福祉に貢献していく」と述べた。

一方、中国外交部の華春瑩報道官は「強い不満と断固たる反対を表明する。すでに米側に厳正な申し入れを行った」と言明。「「『一つの中国』原則は中米関係の政治的な基礎だ。われわれは米側に対して、『一つの中国』政策の遂行、中米間の三つの共同コミュニケの原則の順守という約束を誠実に守り、米国と台湾地区の公的往来と実質的関係の引き上げを止め、台湾地区関連の問題を慎重かつ適切に扱って、中米関係に重大な妨害や損害を与えぬようにするよう促す」とも強調した。

さらに中国国営英字紙チャイナ・デイリーは論説記事で、「法案が成立すれば台湾の蔡英文総統は台湾の主権をいっそう強く主張することになるだけだ」と指摘。「蔡総統が主権を主張すれば、中国では台湾の離脱を阻止するための『反国家分裂法』発動が避けられなくなるだろう」として、「その場合、米国は国内法に基づいて台湾のために行動を起こさざるを得ず、地獄に転落するのは簡単だという見解に実態を与えるだけだ」と戦争の可能性をにおわせて警告した。

中国共産党中央委員会機関紙・人民日報系の環球時報(電子版)は台湾旅行法案が今年1月に米下院で可決された際、「中米国交成立の前提が覆されることになるだけに、国交断絶の可能性すらある」としていた。上院可決で非難のトーンが一段と高まった形だ。(編集/日向)

関連記事(外部サイト)