中国の対台湾優遇策、企業や個人対象、独立志向の蔡英文政権けん制?両岸で新たな綱引き

中国の対台湾優遇策、企業や個人対象、独立志向の蔡英文政権けん制?両岸で新たな綱引き

中国政府が台湾の企業や個人を対象にした経済面での優遇策を打ち出した。台湾側は利益と引き換えに政治的立場の変更を迫ろうとしているとして対抗策を公表するなど、両岸で新たな綱引きが繰り広げられている。資料写真。

2018年3月23日、将来の台湾との統一を目指す中国政府が企業や個人を対象にした経済面での優遇策を打ち出した。独立志向の蔡英文政権をけん制する狙いとみられる。台湾側は利益と引き換えに政治的立場の変更を迫ろうとしているとして対抗策を公表。両岸(中台)で新たな綱引きが繰り広げられている。

中国の対台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は全国人民代表大会(全人代、国会に相当)を控えた2月28日、台湾の企業や個人を対象にした優遇措置を明らかにした。中国共産党中央組織部をはじめ29部門が合同で協議し、規模は過去最大とされる。

中国メディアによると、優遇措置は全31項目。うち12項目が台湾企業に「中国大陸企業と同等の待遇を与えることを促進する」内容で、税制面での優遇や政府主導プロジェクトへの参加を認めるとしている。

残り19項目は個人に対し、中国大陸での学習や起業、就業、生活面において中国国民と同等の扱いを認める。一部資格試験の受験許可や、医療、教育、芸術など幅広い分野での活動を容認することなどが盛り込まれた。

全人代で李克強首相は「(中国本土と)同等な待遇を着実に提供していく。両岸同胞は中華民族が偉大に復興する美しい未来を共に創ろう」などと強調。同時に「『台湾独立』をもくろむいかなる分裂の画策や行動も断じて許さない」と述べ、蔡政権に改めてくぎを刺した。

これに対し、台湾の頼清徳・行政院長(首相)は「台湾をのみ込む狙いだ」と反発。台湾の対中国大陸政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は「大陸側の主張に変わりはなく、依然として台湾に圧力をかけ続けている。台湾の資源の搾取を目的にこれまでにも類似した政策を繰り返してきた」と非難した。台湾メディアも「長期政権化を目指す習近平体制の下で、蔡政権の頭越しに台湾の個人や企業を直接誘って、台湾内部の分裂を図る動きでは」とみている。

台湾側は優遇策への対抗策として四つの柱と八つの具体策を発表。就学・就業の改善と人材つなぎ留め、・誘致の強化、サプライチェーンにおける優位性の維持、資本市場の深化、従業員への報酬配分方法の強化、業務上の秘密の保護強化などで、「自由で開かれた環境の中でしか人材は十分な能力を発揮できない」としている。

日本メディアは「台湾側が警戒している背景には上海などへの就職、就学を希望する若者の急増がある」と指摘。中国の大都市では経済成長に伴い給与が向上しており、台湾誌が昨年3月に実施した世論調査では中国本土での就職や就学を希望する人が30%に上り、20代では42%に達しているという。(編集/日向)

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