北京で古琴文化展が開催=孔子も愛した中国文化のシンボル、過去には古楽器が17億円で落札した例も

北京で古琴文化展が開催=孔子も愛した中国文化のシンボル、過去には古楽器が17億円で落札した例も

北京孔廟国子監博物館で8日、第1回北京古琴文化展が始まった。古琴は日本ではそれほど知られていないが、中国では自国文化を代表する楽器とされている。孔子も愛した紀元前から伝わる楽器だ。

北京孔廟国子監博物館で8日、第1回北京古琴文化展が始まった。会期は10月8日まで。古琴(グーチン)は日本ではそれほど知られていないが、中国では自国文化を代表する楽器として高く評価されている。孔子も愛した紀元前から伝わる楽器だ。

北京孔廟は山東省曲阜孔廟に次ぐ中国第2の規模の孔子廟で、元・明・清の3代にわたり宮廷が孔子に対する祭礼をする場所だった。国子監は元・明・清の3代に渡り中国における最高学府だった。北京孔廟と国子監は隣接しており、現在は北京孔廟国子監博物館として機能している。

第1回北京古琴文化展では考古学上の成果を含めて紀元前からの古琴の変遷を紹介し、関連する文献も紹介。また、ミニコンサートも毎日開催されている。中国では唐代(618〜907年)ごろから「机と椅子」の生活が定着したが、古琴文化展のミニコンサートでは、床の上に座布団を置いて座るという古い時代のスタイルが取り入れられている。

古琴は日本の「琴(こと)」とは異なる楽器だ。日本にも遣唐使などに伴い伝わり、正倉院にも御物がある。また、源氏物語では光源氏が奏でる楽器としての記述がある。しかし日本では古琴の伝統が廃れ、中国では「筝」と呼ばれる楽器にも「琴」の字が当てられるようになった。なお、「古琴」の名称は近代以降のもので、歴史的な楽器名は「琴(チン/きん)だった。中国では、現在も演奏が可能な「琴」としては唐代に作られた楽器も残っている。

中国では「琴」が文人(知識人)の楽器として高く評価され続けた。時代を通じて文人の四つのたしなみとされた「琴・棋(囲碁)・書・画」でも、「琴」は筆頭に置かれている。また、李白などの漢詩作品でも「琴」はしばしば取り上げられ、三国志演義でも諸葛亮(孔明)が「琴」をたしなんだとされている。

中華民国期には、「中華の古い文化」ということで、大学生などの間で古琴がブームになったことがあった。しかし、中華人民共和国時代になると、古琴は「封建時代の支配階級の楽器」とみなされ迫害された。一部演奏家は古琴用の「毛沢東賛歌」などを作曲して生き残りを図った。一方で、台湾や香港、海外華僑の間では古琴が高く評価されつづけ、年代物の古琴のコレクターも発生した。

中国でも文化大革命が終了すると、古琴への批判がなくなった。すると経済成長に伴い中国大陸でも古琴収集への関心が高まった。

2011年12月には、北宋皇帝の徽宗が作らせ、清の乾隆帝の銘がある「松石間意」という古琴がオークションに出され1億3664万元(当時のレートで約17億円)で落札された。楽器の高額取り引きと言えば、イタリアのストラディバリウス父子が製作した楽器が有名だが、ストラディバリウスの楽器の過去最高落札価格は11年に1589万4000ドル(約12億7000万円)だ。「松石間意」は歴史上、最も高額で取り引きされた楽器とされている。

古琴は演奏者自らが、あるいは少数の仲間で楽しむ楽器だったので音量は小さい。そのため、中国の民族楽器の中では比較的地味な存在だが、経済発展にともない自国文化への自信が高まったこともあり、古琴に対する関心は高まってきている。

また、伝統薬や伝統酒のように、歴史や文化を強調したい商品のテレビコマーシャルの音楽などで使われることも珍しくなくなった。

なお、古琴の最も古い形態の楽譜は京都にある真言宗寺院の神光院に保存されていた(現在は国宝として東京国立博物館が所蔵)。神光院に伝わった経緯は分かっていない。中国では唐代に普及し始めた「減字譜」と呼ばれる簡略化した書き方の譜面で古琴曲が伝えられてきた。それ以前の形態の「文字譜」と呼ばれる譜面は神光院に保存されていたものだけで、中国では見つかっていない。(翻訳・編集/如月隼人)

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