G20大阪サミットが残した疑問=誰が世界をリードするのか?―独メディア

G20大阪サミットが残した疑問=誰が世界をリードするのか?―独メディア

トランプ大統領の独断独走が20カ国・地域(G20)を迷走させている。G20大阪サミットは気候変動抑制の面でその限界を示し、G20が世界の重要問題解決に果たす役割に疑いを生んでいる。写真はワシントン。

ドイツの国際放送事業体ドイチェ・ヴェレ(DW)中国語サイトは6月29日、大阪で行われた第14回20カ国・地域(G20)首脳サミットについて「G20大阪サミットで残した疑問:誰が世界をリードするのか」と題する記事を掲載した。

記事ではまず、「当初の先進7カ国(G7)クラブが拡大発展したG20はかねてから批判にさらされてきた。それは規制や明確な指示あるいは法的執行権を欠いた上に、大多数の発展途上国の参加を排除しており、派手な会議の割にはなんの解決策も出せないからだ。これまではG20に対する圧力は主として反グローバリズム派からの抗議だったが、今週日本の大阪で行われたG20では新たな状況が出現した。その合法性が直面する最大の課題はおそらくG20自身の内部から来ている。サミット議長国として、日本の安倍晋三首相が主要な任務としていた各参加国のパリ協定(2015年12月12日に第21回気候変動枠組条約締約国会議が開催されたパリで採択された気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定)に対するより強く一貫したコミットメントを引き出すことは、米国のボイコットにより実を結ばなかった」と述べている。

次に、「ロシアのプーチン大統領はサミットの期間中、欧米が長期にわたってイニシアチブをとってきたG20が賛美する自由主義はすでに『時代遅れ』だと述べている。その上、大阪サミットはこの間に起こった世界最大の貿易問題(交渉がこう着した局面に陥っている中米貿易戦争)に対して、なすすべがないようにみえた。カナダ国際ガバナンスイノベーションセンターのトーマス・バーンズ研究員は『G20は協力のためのフォーラムとして創設されたが、問題は多分私たちがすでにこの目標を達成することができない段階にまで至ってしまったのではないか、ということです』と述べている」と指摘している。

記事ではまた、「G20の基本的な目標は世界経済の安定を維持することだが、トランプ大統領がゴリ押しする『アメリカ・ファースト』政策は中国と貿易戦争を繰り広げ、長年の貿易パートナーに対して関税引き上げといういじめを行っている。昨年のブエノスアイレスでサミットと同様、大阪サミットは基本的に世界2大経済大国間の貿易戦争にジャックされ、他の18カ国は手の施しようがない傍観者になってしまった。土曜日に習近平中国国家主席と会談した後、トランプ大統領は双方の貿易協議を再開すると述べた。このことは金融市場にしばし息をつかせるかもしれないが、根本的な相違点は解決しておらず、いつでも蒸し返しが起こり得る」として、中米貿易戦争に対する見解を述べている。

続けて「貿易協議再開の決定はG20サミットとは切り離して行われたもので、それはサミットの総括を味気ないものにしたが、総括そのものはサミットが長年繰り返してきた観点を集約したにすぎない。バーンズ氏は『不幸なことはG20における米国の指導的な地位に取って代わる者がいないことです。英国は欧州連合(EU)を離脱しようとしており、中国は信頼が置けません。ドイツのメルケル首相はキャリアの終盤に差しかかっています。さらに大阪サミットでは日本の事務効率にも疑問が生まれました』と語った。また『問題は誰がリードできるのかです。これまでは米国のリードがまずいと恨み言を言ってきましたが、それでも米国はある程度のことはしてきました。今はそのバトンを誰が引き継ぐかです』『目を挙げて見回し、誰が引き継ぐのかです』などとも述べた」として、米国に替わってG20をリードする国の不在を指摘している。

ドイチェ・ヴェレは最後に次のように結論づけている。「G20の衰退には理由がないわけではない。オックスフォード経済研究所はあるレポートの中で、世界貿易はすでにゼロ成長に至った可能性があると述べている。2018年の対前年成長率は約6%で、これは09年の世界金融危機以来減少がもっとも深刻だった。レポートは『成長の鈍化よりもさらに重要なのは、貿易紛争、特に中米の貿易戦争が過去数十年に渡ってルールを築いてきた世界の貿易体系を深刻に蝕む可能性があることだ』と指摘している。G20サミットはこれまでも議題があまりにも広範囲に渡って合意に達しにくいとして批判されてきた。安倍首相は当初、気候変動抑制の促進に焦点を当てることを目的としていたが、結果はサミットの非効率性を浮き彫りにしただけで、最終宣言は決まり文句にすぎない。早稲田大学の国際政治学者、山本武彦氏は『気候変動抑制面での残念な結果はG20の限界を示しています。皆が同じ船に乗っていても、考えていることはさまざまです』と述べている」(翻訳・編集/坂下晃)

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