<羅針盤>夢を絶たれた多くの人たちの死を心から悼みたい=京都アニメスタジオ惨劇―立石信雄オムロン元会長

<羅針盤>夢を絶たれた多くの人たちの死を心から悼みたい=京都アニメスタジオ惨劇―立石信雄オムロン元会長

多くの人気作品を制作してきた京都アニメーションのスタジオが放火され、34人もの犠牲者が出た。残忍な事件に憤りを覚える。夢を絶たれた多くの人たちの死を心から悼みたい。

多くの人気作品を制作してきた京都アニメーションのスタジオが放火され、34人もの犠牲者が出た。残忍な事件に憤りを覚える。夢を絶たれた多くの人たちの死を心から悼みたい。

現場となった京都市伏見区のスタジオは同社の主力拠点だった。京都で育った筆者は京都伏見ののどかな情景を思い浮かべることができる。

報道によると、41歳の男が「死ね」などと叫びながら押し入り、ガソリンのような液体をまいたという。現場周辺で複数の刃物も見つかっている。背景には強い恨みの感情があったのだろうが、卑劣な犯行を到底正当化できない。動機など事件の背景について解明が待たれる。

京都アニメーションは「涼宮(すずみや)ハルヒの憂鬱」「聲(こえ)の形」などヒット作を多く手がけた。東京に拠点を置く制作会社が多い中、京都に拠を構え、アニメ文化を発信、若手の人材育成にも力を入れていたという。国際的に日本文化の象徴としてアニメが人気を集めており、同社は重要な担い手として注目され、アニメづくりを目指す若者の間で、就職先としても憧れの存在だったという。アニメづくりにかける若者らの姿を描くNHKの連続テレビ小説「なつぞら」と重なる世界である。アニメに心血を注ぐ多くの有為のひとたちが惨劇に巻き込まれたことに、言葉を失う。
 
一方で、たとえガソリンによる放火でも、あっという間にビル全体が炎と猛煙に包まれてしまったのは不可解だ。2001年に発生した東京・歌舞伎町の雑居ビル火災では44人が亡くなったが、防火扉が固定されていた不備が明らかになった。

今回の火災で、防火扉の設置や作動状況はどうだったのか。消火設備は備わっていたかなど、詳しい検証が待たれる。特に多くの人が出入りする場所では、防火対策の徹底を求めたい。京都アニメーションの京都市伏見区のスタジオで火災が発生。33人が死亡した。駆けつけた警察官が付近にいた男(41)の身柄を確保。「火を付けた」と話しており、最悪の大惨事につながってしまった。何らかの恨みがあったようだが、言語道断、決して許されないことである。

米国CNN電子版は会社のホームページを引用し、「ヒューマンな人間企業」「人を大切にし、人づくりが作品作り」といった理念を掲げていると紹介した。中国でも新華社通信が火災を速報したほか、中国中央テレビも現場からの中継を交えて様子を伝えた。「けいおん!」など同社の作品は中国でもファンが多い。SNS上では「京アニの作品はすべて良心。なぜこんなことが起きたのか」「あまりの衝撃に言葉がない」などの驚きが相次いでいるという。
<羅針盤篇43>

■筆者プロフィール:立石信雄
1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。SAM「The Taylor Key Award」受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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