<コラム>今年も勢ぞろい、第7回「中国の夢」主題新創作歌曲

<コラム>今年も勢ぞろい、第7回「中国の夢」主題新創作歌曲

「中国の夢」主題新創作歌曲が勢ぞろいしている。

●憶えていますか?「中国の夢」主題新創作歌曲

以前、こちらのコラムに寄稿した『名曲揃い!「中国の夢」主題新創作歌曲に洗脳されてしまった!』を憶えておいでだろうか?中国政府が掲げる政策「中国の夢」をテーマとした一連のキャンペーンソングに関してああだこうだとレポートしたコラムだ。おさらいすると、習近平主席就任以来「中国の夢」というキーワードのもと、毎年キャンペーンソングが選定され、ここ数年は公共CMの一環としてテレビでMVがヘビーローテーションされているというレポートと、代表的な曲紹介をしたものだ。相変わらず、筆者はイチオシの平安(アンソン・ピン)と喩越越の、バラードなのに暑苦しいデュエット曲『信仰』を思い出したように週1度は聴いている。公共CMでもいまだに放映されている名曲だ。この『信仰』をTwitterで紹介したら香港系のフォロワーに「ugly and evil」とリプライされてしまった(笑)。それほどインパクトのあるデュエット曲なのだ。(画像1 信仰MVより)

●建国70周年、国慶節をターゲットにぞくぞく発表

前回のコラムのタイトル通り、数々の名曲に洗脳されてしまった筆者は、本年度の第7回「中国の夢」主題新創作歌曲が出そろうのをまだか?まだか?と待ちわびて春と夏を過ごした。ようやく8月半ば、20曲におよぶ 第7回「中国の夢」主題新創作歌曲がプレスリリースされた。ところが、プレスリリースはあったものの肝心のMVがなかなか 発表されない。中国の動画サイトを検索しても、歌謡番組や政治番組から切り取ったものばかり。8月末の時点ではほとんどMVは完成していなかった。20曲のうち5曲ほどであっただろうか。

曲のタイトルを見る限り『脱貧宣言』『我們都是追夢人』『復興的力量』『我奮闘我幸福』『和祖国在一起』とパワーワード盛り盛りの、タイトルだけで音が聴こえてきそうなラインナップ。昔、レコードのジャケット買いという、視聴なしでアルバムジャケットのアートワークのみで購入判断するという買い方があったが、こちらはタイトル買いだ。激アツなタイトルであればあるほど期待が膨らむ。

ようやくMVが出そろったのは国慶節の10月1日を10日後に控えた9月20日ごろ。さっそく中央電視台のサイトにアクセスしMVを聴きまくった。(画像2 プレスリリースより)

●相変わらず大スター、人気アイドルも登場

2019年10月1日、建国70周年を祝う国慶節の一般パレードにて、ダンスパフォーマンスの一群のテーマ曲が今回「中国の夢」主題新創作歌曲に選出された『我們都是追夢人』であったことに気づいた。建国70年、さらなる発展を願う場にふさわしい選曲だ。

この『我們都是追夢人』、今年初め春節の大みそか番組で人気スターが歌い、多くの人が知ることとなった。MVも8月末にはリリースされ、出演しているスターのラインナップに驚愕。TF-BOYS、?磊、朱一龍、楊紫、李易峰、周冬雨といった若手アイドルはもちろん、鍾漢良、陳偉霆、ダン・ルン(●倫=●は登におおざと)、江疏影、景甜、秦嵐、ディルラバといったドラマやバラエティーショーでおなじみの顔ぶれが勢ぞろい。アフリカの飢餓と貧困を救うため、スティービー・ワンダーやビリー・ジョエルといった大物シンガーが多数参加したプロジェクト「USA for Africa」の『We Are The World 』(1985)中国版ともいえる豪華キャスト。(画像3 『我們都是追夢人』MVより)

また、120bpmとゆったり踊れるテンポのため、さっそく広場舞やフラッシュモブに使う人たちが出てきた。フラッシュモブは共青団が積極的に展開しているようだ。(画像4 広場舞教学ビデオより)

●今回の激アツオススメ曲

今回もどの曲を推そうか非常に迷う。上記の豪華スター共演『我們都是追夢人』をはじめとし、CCTVの「中国の夢」主題新創作歌曲公式サイトにて、音声のみ早送りで映像とズレているMVがいまだに放置されている『乗風波浪再出発』、軍歌そのものではないかと思えるメロディーとリズムの『復興的力量』など個性あふれる歌曲が20もあるので迷ってしまう。そこで、もっとも中国らしいと感じた歌および別の大スターが共演の歌を推してみたいと思う。

まずはパーフェクトシノワズリ歌曲『領航新征程』。『領航新征程』とは日本語にすると「新しい旅の水先案内」、習近平改革次のステージを意味する。中国風や民族風のメロディーを採り入れた「中国の夢」主題新創作歌曲は数多くあるが、この『領航新征程』は突出している。ベテランっぽい歌手がレコーディングスタジオでマイクに向かうシーンからMVはスタートするのでフツーの歌かと思いきや、4人のボーカルはすべて有名京劇役者。京劇の発声法で歌いつつ、サビの部分で京劇風な大見得を切ったりするのだが、京劇衣装ではなく、スーツやドレスなので激しく違和感があるため、そこが気に入ってしまった、「ギャップ萌え」というやつだ。歌舞伎や能をスーツやドレスで演じる風景を想像してみれば、そのギャップは理解できるだろう。京劇ボーカルといえば中国のメロデス/フォークメタルバンド「黒麒(Black Kirin)」がアルバム『哀郢』で採用したが、ステージではどのような衣装だったか気になるところだ。(画像5 『領航新征程』MVより)

もう1曲、豪華メンバーによる作品を推してみたい。『脱貧宣言』ではいままで政府のキャンペーンソングを歌ってきた大物ベテラン歌手が勢ぞろい。こちらも『我們都是追夢人』同様『We Are The World』のようなものだが、貧困対策がテーマという点ではより一層「USA for Africa」の精神に近いと思われる、ただ、対象はアフリカではなく中国国内だが。とくに注目したい点はセンターが日本でも皆さんおなじみ香港のジャッキー・チェンということ。ついに中国政府キャンペーンソングの顔にまで上り詰めた。ジャッキー・チェン隣の女性センターは『信仰』ほか多数の激アツキャンペーンソングを担当してきた武警歌手の喩越越だ。これを見た香港人からしたらやはり冒頭で紹介したように「Ugly and Evil」と思われてしまうのであろうか?(画像6 『脱貧宣言』MVより)

しかし、世界共通言語ともいわれる音楽そのものに罪悪はないはず。ここはひとつ素直な気持ちで「中国の夢」主題新創作歌曲を聴いてみようではないか。MVはCCTVに過去作品を含めまとめた公式サイトがあるので、そちらでご覧いただきたいと思う。きっとお気に入りの曲が見つかるはずだ。

関連記事(外部サイト)