最優秀賞に早大・乗上美沙さん『赤い羽根がくれた幸せ』=東日本大震災時の募金支援描く―第2回「忘れられない中国滞在エピソード」表彰式

最優秀賞に早大・乗上美沙さん『赤い羽根がくれた幸せ』=東日本大震災時の募金支援描く―第2回「忘れられない中国滞在エピソード」表彰式

第2回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクールの表彰式が東京の駐日中国大使館で開催され、約200人が出席。早大大学院の乗上美沙さんが最優秀賞に輝いた。写真は表彰式風景。

第2回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクール(日本僑報社主催、駐日中国大使館、読売新聞社、日中友好7団体など後援)の表彰式と交流会がこのほど東京の駐日中国大使館で開催され、約200人が出席した。

最優秀賞・中国大使賞に輝いたのは乗上美沙さん(東京都=早稲田大大学院)の「赤い羽根がくれた幸せ」と題した作品。東日本大震災があった2011年3月12日、乗上さんは中国・大連のインターナショナルスクール高校の1年生だった。その際の日本と中国の生徒同士の温かい交流が生き生きと描かれている。

<作品抜粋>
テレビ画面で突然知った母国・日本の大災害に動揺し言葉を失った。生徒は大半が中国人で、彼らは「学校で募金を募ってみない?」と提案してくれ、高校での募金活動が始まった。

募金用の箱を用意し、赤い羽根のブローチを手作りした。多くの中国人生徒が「募金する機会を作ってくれてありがとう」「隣国が大変な時には助けなければ」などと言いながら、それぞれの思いを箱に入れてくれた。言葉の一つ一つに優しさが溢れていて、私は次第に胸が熱くなっていった。

1週間続いた募金活動を終えたころには募金箱も重くなっていて、募金活動を一緒に手伝ってくれた多くの中国人の友人に囲まれていた。大連赤十字にお金を届ける日本人の友人を見送った時、被災地に募金ができた達成感を感じていた。キャンパスを見渡すと、ほとんどの人が赤い羽根を付けていた。歴史授業などを通じて、中国人と日本人の生徒の間に壁を感じていたが、私の心はいつしか中国人に対する感謝の気持ちと穏やかな幸福感に包まれるようになっていた――。

作者の乗上さんは受賞者あいさつの中で「今回の『忘れられない中国滞在エピソード』コンクールは私が経験したものを皆さんと共有するものです。こうした場を通して、中国の方々の温かさの片鱗を皆さんにも体感いただき、少しでも日中間の相互理解に寄与できればいいと思う。これからも自分のできる範囲で日中友好に貢献していきたい」と抱負を語った。

このほか表彰式では、1等賞受賞の山崎未朝さん(岐阜県)、入江正さん(大阪府)、横山明子さん(中国湖南省)、片山ユカリさん(東京都)、森野昭さん(滋賀県)がそれぞれ登壇し、受賞作の紹介や受賞の喜びについてスピーチした。

来賓として、中国大使館から孔鉉佑大使、郭燕首席公使ら、日本側から近藤昭一衆院議員・日中友好議員連盟幹事長、末松義規衆院議員・元内閣府副大臣、片山和之外務省研修所所長(前上海総領事)らが出席した。

孔鉉佑大使は挨拶で「中国には『少しのことからすべてを見通す』という言葉がある。受賞者の中には中国で見たり感じたりしたことが中日関係改善・発展への思いや理解に変わった人も大勢おられる。これらの有益な経験が将来の貴重な財産になるものと固く信じる」とエールを送った。

主催者を代表して日本僑報社の段躍中編集長は「日中関係発展のためには実際に行動することが大事だ。このコンクールは来年も、今年と同様(1)中国のここが好き、これが好き(2)中国で叶えた幸せ(3)私の初めての中国――の3つのテーマで開催する。ぜひチャレンジしてほしい」と呼びかけた。

第2回「中国滞在エピソード」は、今年の中国建国70周年を記念し、中国に行ったことのある、または現在滞在中の日本人を対象にエピソードを募集し、各地から過去最多の293本が寄せられた。この中から入賞作70本を選定、受賞作品集『中国で叶えた幸せ』(日本僑報、2500円税別)として刊行された。(八牧浩行) 

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