<コラム>猿の脳ミソとコロナウイルスと日中

<コラム>猿の脳ミソとコロナウイルスと日中

コロナウイルスは野生動物の持つものから人間に伝染したと言われる。それがコウモリとなると、日中の差異、というより日本の特殊性を改めて認識させられる。写真は武漢。

武漢のコウモリは哺乳類である。
人類の遠い親戚だ。ネズミに羽(実際は手の進化形)をつけたと乱暴に想像してもいいだろうか。
超音波を発して暗闇を疾走する。
恐らく人類の見ている世界とはまったく異なった世界に生きているのだろう。

もともと人類は陸上で齧歯目というネズミ類から進化した末裔らしい。
固い植物の実や草を食べる草食以外に雑食性のものもいる。小型で雑食なので恐竜の大絶滅時代や寒冷期なども生き延びたと推測されている。

このコウモリを食べるのが中国で、昔は朝鮮でも食べていたらしい。
薬草と同じく、各種の動物にはそれぞれ薬効があるとされている。

また珍味という点も少しはあるらしい。東南アジアでは生きたサルの脳ミソを食べることもある。脳は痛みを感じないが、想像すると、吐き気をもよおしそうだ。

お隣の朝鮮では少なくなってきているとはいえ「犬」を食べる。中国にもあるらしい。

このあたりの食文化は、それぞれの国の歴史と深い関わりがある。
一概に批判は出来ない。ただ、現代では、日本人が鯨肉を食べるのは野蛮だと言われるように、この犬を食べる文化も変わりつつある。猿の脳ミソは論外だと思う。

コロナウイルスは野生動物の持つものから人間に伝染したと言われる。それがコウモリとなると、日中の差異、というより日本の特殊性を改めて認識させられる。

よくご存じのように、日本では、ウサギを一匹、二匹とは数えない。
もちろん、そう数えてもいいように変わりつつあるが、「一羽、二羽」である。
なぜ、「一羽、二羽」かというと、有力な説は、「肉食禁止」から、鳥と同じようにあつかったというものである。

天武天皇が仏教の殺生禁止を受けて肉食を禁じて以来、その対象の動物は変わっているが次第に浸透してきている。
ただ抜け道もあって、イノシシなど野鳥獣の肉に関しては「薬食い」と称して食べられていた。
この点では、「コウモリ」などを食べるのとは大差ない。ただ、その種類・範囲は極めて小さい。

我が国は、大雑把に言って「大陸」に属さない。
どころか、つい2、300年前までは、世界でも珍しい文化圏であった。

なぜそんな文化国家が出現したか。主因は地理的位置である。

例えば、日本は島国として先進国のイギリスに近いといわれる。
が、ユーロトンネルがあるドーバーとフランスのカレーとのドーバー海峡の距離が40キロ前後。
一方、壱岐・対馬があるとはいえ福岡と釜山の距離は200キロ強である。この差は大きい。
高速艇や飛行機で現在でこそ「目と鼻の先」といわれても、ホンの数十年前までは「異国」であった。

そして遣唐使などを通しても、以前書いた「宦官」制度、「纏足」制度、「科挙」などと同じく、こういった「コウモリ」「蛇」などを食べる風習も受け入れていない。

珍味として「猿の脳ミソ」を食べるのは、人類として行きすぎと私は思う。また、「薬効」として、コウモリや蛇や、多種多様なものを食べるのも、現代社会ではもうそろそろ見直されてもいいように感じている。

エイズの起源はアフリカのチンパンジーという説が有力であるように、いままでは問題にならなかった一地域の動物のウイルス伝染が、人の移動の広域化、スピード化によって、恐ろしい広がりを持つようになっている。大陸は正に「目と鼻の先」になったのだ。

公衆衛生が脆弱な地域では、対応が難しい。今回のコロナウイルスは中国発生であるけれども、先進国として公衆衛生が発達している日本でも、対策に困惑している。

ウイルスの更なる変異にも注意を払わねばならない。

改めて、中国への関心と理解を深めるとともに、運命共同体としての認識を新たにしないといけないだろう。

コロナウイルスの拡散と、変異がこれ以上起こりませんように。冷静に各国が協力と対応をしますように。また中国、日本などで罹患された方々が早く回復されますように。

関連記事(外部サイト)