浅川ADB総裁が会見、コロナ対応でもAIIBと協調融資=中国経済はV字回復後、構造要因で安定成長に

浅川ADB総裁が会見、コロナ対応でもAIIBと協調融資=中国経済はV字回復後、構造要因で安定成長に

アジア開発銀行の浅川雅嗣総裁が日本記者クラブで新型コロナ危機への対応やアジア経済をテーマに記者会見。コロナ対応でAIIBと11件の協調融資を実行したことを明らかにした。写真は会見する同総裁。

2021年1月12日、アジア開発銀行(ADB、本部マニラ)の浅川雅嗣総裁が日本記者クラブで記者会見し、新型コロナウイルス感染症危機への対応やアジア経済をテーマに記者会見。中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)とバングラデシュ、カザフスタン、タイなど向けに計11件の協調融資を実行したことを明らかにした。また中国経済について、新型コロナによる打撃から急速に立ち直った後、成長率が徐々に減速していく安定軌道に戻る公算が大きいとの見方を示した。

浅川氏は財務省財務官を歴代財務官として最長の4年務めた後、内閣官房参与兼財務省顧問を経て2020年1月に第10代のADB総裁に就任した。

浅川総裁によると、アジア開銀は新型コロナウイルス感染の拡大により景気減速に苦しむアジア新興国向けの支援パッケージ(総額200億ドル)枠を設定し、昨年12月6日までに149億ドル(約2兆700億円)の融資・無償援助を実施した。その一部として、AIIBとバングラデシュ、カザフスタン、タイなど向けに計11件の協調融資を実行した。融資額は11件合計でADBが80億ドル超、AIIBは約45億ドル。残りは世界銀行が融資した。 

ADBとAIIBの協調融資はこれまで、インフラ開発案件に限られていたが、コロナ対応でも協調融資に踏み切ったことになる。浅川総裁は「ADB単独ではコロナ対策に必要な資金を供給しきれないため、AIIBのほか世界銀行などとの協力も積極的に進めていく」方針を明らかにした。

このほかアジア開発途上国・地域の経済動向について、「実質経済成長率は2019年に5.1%だったが、2020年はマイナス0.4%と60年ぶりの経済収縮となる。2021年は6.8%に回復する見通しだが、新型コロナ以前のGDP水準には戻らない」と語った。ただパンデミック長期化リスクはワクチンの開発・普及によって緩和されるとの期待も示した。

国別では、2020年はコロナ感染症の早期抑制に成功した中国(プラス2.1%)、ベトナム(2.3%プラス)などはプラス成長が見込まれるが、国内感染が継続するインド(マイナス8%)、インドネシア(マイナス2.2%)、マレーシア(マイナス6.0%)、フィリピン(マイナス8.5%)などはマイナス成長に陥る。

また需要・価格の低迷で打撃を受けるカザフスタン(マイナス3.2%)、モンゴル(マイナス2.6%)など一次産品輸出国もマイナス成長となる。観光・旅行業への依存が高いタイ(マイナス7.8%)、モルジブ(マイナス20.5%)、フィジー(マイナス19.8%)なども打撃を受ける。

中国は2021年もプラス7.7%とコロナ感染の前年である2019年以上のV字回復となるが、その後は成長が緩やかに減少すると予測。「農村と都市の不平等や格差の軽減」が課題となるが、(1)投資主導型成長から消費主導型成長への移行、(2)高齢化に対応した信頼性の高い持続可能な社会保障の導入、(3)低賃金労働ではなく、技術革新に依拠した高度な発展段階への移行――などの構造的な要因が持続的な安定成長に寄与すると指摘した。(八牧浩行)

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