米バイデン政権、中国パワーの対外「強制力」を警戒=米中対立は10年続く―佐橋亮東大准教授

米バイデン政権、中国パワーの対外「強制力」を警戒=米中対立は10年続く―佐橋亮東大准教授

佐橋亮東京大学准教授が日本記者クラブで講演。米バイデン政権の対中戦略を分析するとともに、日本がとるべき外交政策について提言した。写真は3月18日、アラスカ州アンカレジで行われた米中外交トップ会談。

2021年4月6日、国際政治、米中関係を専門とする佐橋亮東京大学准教授が日本記者クラブで講演。米バイデン政権の対中戦略を分析するとともに、日本がとるべき外交政策について提言した。
同氏はバイデン政権の外交方針について、国際秩序の立て直し、同盟国との関係修復、中間層のための外交、人権重視、権威主義国家による挑戦への対応、気候危機への対応などが主題となると指摘。特に中国のパワーが持つ対外「強制力」への警戒感が強いという。
中国の強制力について「軍事力(抑止と対処)だけでなく、非軍事手段も含め、国際ルール、標準をめぐる動きが活発化し、構造的パワー≠ノも通じる」と力説。米国、中小諸国、国際秩序などに対する「強制力」が恐れられていると強調した。
米国は国家安全保障戦略指針の中で、中国について「経済力、外交力、軍事力、技術力を組み合わせて、安定的で開かれた国際システムに持続的に挑戦することができる唯一の競争相手」と定義、警戒している。
佐橋氏は、「冷戦」の定義として「二つの国が互いの不信から、相手の行動に対して協調や対話よりも、相手への反発や応酬のための政策対応を優先させる政治的不和の状態の継続」を挙げた。その上で、米ソ冷戦時代と異なり、米中には相互依存関係があり、イデオロギー対立もないことを理由に、米中「冷戦」との認識を否定する言説が増していると指摘。「米中対立」という表現が妥当との見方を示した。
また米中対立は今後少なくとも10年は続くと予想した上で、デタント(緊張緩和)のタイミングについて「どちらかの国か両方の国が政治経済事情によって根本的な戦略を変えなければならないことになれば緩和の方向に向かう」と予測。「中国なら共産党の統治戦略が見直されることであり、米国なら世界戦略・覇権主義が修正されることだ」と説明した。その上で「解きほぐすにはどうしたらいいのか」考えるべき時代に来ているとし、「中間層のための外交と対中戦略が交錯し、重なり合うことが雇用に繋がれば接点を見いだせる」と分析した。
佐橋氏によると、米国の中間層は(1)安全保障的関心に基づく対中政策の「コスト」に敏感(2)世論調査における嫌中感に一喜一憂されない(3)押し戻しや抑止は支持するが、イデオロギー対立や介入主義を排除する―などの特徴があるという。
さらに「米国か中国のどちらにつくかとの問題は難しい。アジアと欧州は異なる。東南アジア諸国連合(ASEAN)は国によって濃淡はあるが、基本的に米中どちらにも行きたくない。韓国やインドも同様であり、米国の同盟国日本は経済では中国に依存しており、同様の立ち位置である」と解説した。(八牧浩行)

関連記事(外部サイト)

×