中韓の歴史論争、中朝国境の白頭山にも、「このままでは中国の山に」と韓国紙

中韓の歴史論争、中朝国境の白頭山にも、「このままでは中国の山に」と韓国紙

中朝国境の「白頭山」が中国の山として国際的に定着しかねないと韓国紙が危機感を募らせている。背景には古代王朝の高句麗の帰属などをめぐる中韓の歴史論争がある。中朝国境の白頭山

中国と北朝鮮の国境にそびえる「白頭山」がこのままでは「中国の山・長白山」として国際的に定着しかねないと韓国紙が危機感を募らせている。背景にはかつて朝鮮半島北部から中国東北部を支配した古代王朝・高句麗の帰属などをめぐる中国と韓国の歴史論争がある。
白頭山は北朝鮮の両江道と中国吉林省の国境地帯にある標高2744メートルの火山。1962年に結ばれた中朝辺界条約で中国が北朝鮮に譲歩し、山頂の池に国境線が引かれた。中国側の記録によると、白頭山全域は中国領内にあったが、この条約により、白頭山および周辺地域を含む約1200 平方キロが中国から北朝鮮へ割譲されたという。
特に北朝鮮で白頭山は故金日成主席が抗日パルチザン闘争を展開した「革命の聖地」とされる。2018年9月の南北首脳会談後には韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がそろって登頂し、友好ムードを演出した。
朝鮮日報によると、韓京大の白頭山研究センターはこのほど開催した設立記念学術大会で「中国は金と清が白頭山で祭祀(さいし)を行っていたとして遺跡などの観光資源の開発に乗り出す一方で、白頭山の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界ジオパークへの単独登録を目指している」と報告。「中国は1998年以降、文書と地図の『白頭山』の名称をすべて中国式名称の『長白山』に変更し、2005年には吉林省直属特区『長白山保護開発区』を設置し、白頭山の開発に乗り出した」とも指摘した。
さらにこうした動きは「高句麗など韓国の歴史を中国史の一部として歪曲(わいきょく)してきた東北工程(中国東北部の少数民族の歴史研究プロジェクト)が経済開発と結び付いた形だ」と言及。朝鮮日報は「中国は中原王朝による白頭山地域の統治が戦国時代の燕国(紀元前4世紀)時代から続いたなどとも主張しているが、これは中国の漢民族政府が白頭山付近を管轄し始めたのは20世紀初めの中華民国樹立以降という歴史的常識に反するものだ」と述べ、「中国の終わりなき歴史侵奪」と批判した。
白頭山研究センターのユン・フィタク所長(韓京大教授・中国現代史専攻)は「中国が白頭山を『長白山』の名でユネスコ世界ジオパークに単独登録すれば、国際社会から『白頭山』という名称が消滅する懸念がある」と憂慮。「中国は来年の北京冬季五輪を契機として『長白山は中国の山』という宣伝に乗り出す可能性も大きい」と警戒している。
中韓の歴史については2017年4月、トランプ米大統領(当時)が米紙とのインタビューで「中国の習近平国家主席と会談した際、『朝鮮半島は中国の一部だった』との発言があった」と披露。韓国内で物議を醸した。(編集/日向)

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