<コロナ禍が「京都の伝統」を直撃>葵祭、祇園祭の2年連続中止は残念―立石信雄オムロン元会長

<コロナ禍が「京都の伝統」を直撃>葵祭、祇園祭の2年連続中止は残念―立石信雄オムロン元会長

京都で育った私は、京の町並みや風情に温かさを感じる。京都はお寺や神社が多い。そのためか四季を愛でることがたやすくできるのがうれしい。写真は祇園祭。

京都で育った私は、京の町並みや風情に温かさを感じる。新幹線が東山トンネルから出た途端に広がる瓦屋根の民家の風景にやすらぎを憶える。京都はお寺や神社が多い。そのためか四季を愛でることがたやすくできるのがうれしい。
1月は初詣、2月は節分、天神の梅花祭、3月は涅槃会、4月は都をどり、5月は葵祭、7月は祇園祭、8月は大文字、10月は時代祭、12月は顔見世で始まり、最後は大晦日(31日)のお寺参りで新しい年を迎える。まさに文化の凝縮した町なのである。ところが昨年来新型コロナウイルスの直撃を受けて、伝統的な行事が中止に追い込まれている。
京都三大祭の一つ、葵祭について、葵祭行列保存会と葵祭行列協賛会は、昨年に続いて5月15日の「路頭の儀」(行列巡行)を中止すると発表した。同保存会は「新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、行列の参加者や沿道の観覧者への対応が困難なこと」を理由に挙げ、「関係者が安心して臨める状況に至らないと判断した」と説明している。
斎王代列による「禊(みそぎ)の儀」も行わない。下鴨神社(京都市左京区)と上賀茂神社(同市北区)の「社頭の儀」など関連神事は神社関係者が行うという。
京都を舞台に繰り広げられる伝統行事の中でも、葵祭りは京都3大祭りの中心的な存在。日本で最古の祭りで、飛鳥時代の舒明天皇の御代に始まった。毎年、都大路を行く牛車の音ものどかに華やかな行列が練る。斎王さまをはじめ女人列の優雅さはまさに王朝絵巻さながらである。
7月の祇園祭は平安時代の869年に疫病退散を祈った祇園御霊会が起源とされる。京都三大祭りの一つで、ハイライトとなる山鉾巡行には例年多くの観光客が訪れるが、この華やかな祭りも、昨年に続き中止すると発表された。残念なことだが、致し方ない。
京都の伝統行事は8月の大文字焼き、10月の時代祭、12月の顔見世と続く。慎重に状況を分析し、リスクが少ない形で実現できればと願うが、ウイルス感染拡大が憂慮される中、こればかりは「無理は禁物」なのかもしれない。
有数の観光地を抱える京都には年間約8500万人の観光客が訪れ、日本人を含む観光客が市内で支払った宿泊代や飲食費などの「観光消費額」は2018年には約1兆3000億円以上に達した。コロナ禍で訪日客や県外客は激減し、ホテル旅館や土産、飲食店は大きなダメージに見舞われている。
コロナ禍で激減した内外の観光客が戻ることを切望したい。四季折々におりなす文化をいつまでも抱擁する京都であってほしいものである。
<羅針盤篇63>

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