中国版ウルトラマンはパクリなのか? 制作発表に駆けつけたウルトラマン『奥さん』は「クオリティが低すぎ」(追報)

中国版ウルトラマンはパクリなのか? 制作発表に駆けつけたウルトラマン『奥さん』は「クオリティが低すぎ」(追報)

今月10日、北京において『鋼鐵飛龍之再見奧特曼(ドラゴンフォース さようならウルトラマン)』の制作発表が行われた。一般公開は今年の10月となる予定。(イメーシ?写真提供:(C)Wasan Ritthawon/123RF タイ・アユタヤのマーケットで撮影されたウルトラマン)

 今月10日、北京において『鋼鐵飛龍之再見奧特曼(ドラゴンフォース さようならウルトラマン)』の制作発表が行われた。一般公開は今年の10月となる予定。
 
 現在YouTubeで公開されているノーカット映像によれば、この制作発表は約40分間に渡って行われ、ウルトラマンのアテレコと主題歌の作曲と歌唱を担当した歌手の大張偉、そしてウルトラマン「本人」も駆けつけた様子。過去のウルトラマン作品を編集したプロモーション映像も放映され、会場には「カッコいい!」と呼びかける子どもたちの声も響いていた。
 
 本作は、2013年に日中合作で制作された「鋼鐵飛龍(ドラゴンフォース)」(総監督・原作:畑澤和也)に続く2作目の位置づけとのこと。作中では、大爆発を起こした故郷を助けに戻ったウルトラマンが描かれるようである。制作したのは第1作目に引き続き、広州藍弧文化伝播有限公司。CGアニメーション制作を多数手がける中国企業だ。
 
 これに対し円谷プロは「本件発表について、当社は一切関知しておらず、本件映像作品は当社の許諾・監修等なく製作されているものです。また、当該発表会及び映像におけるウルトラマンキャラクターの利用方法、態様等は、ウルトラマンブランドを著しく毀損し、断固として非難すべきものであり、到底認められるものではありません。」との声明を発表しているが、ウルトラマンについては、1997年から国内外で訴訟が行われており、その権利問題はかなり複雑化している。中国については、2013年9月29日に中華人民共和国最高人民法院において、円谷プロダクションの控訴棄却判決が出ており、広東省高級人民法院での敗訴が確定している。
 
 この判決を受けて、現在海外利用権を持っていると主張しているのは、当初争っていたタイ人実業家から譲渡を受けたユーエム株式会社(東京都港区)。「ウルトラマンの海外利用権を持つ会社です。」「ウルトラマンの利用範囲は、ウルトラQ、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマン、ウルトラマンエース、ウルトラマンタロウ、他ジャンボーグエースのキャラクターで、その話の中に出演する怪獣他、プロップス等の範囲に及びます。」と自社ホームページ上に記載している。同社は、円谷プロの中国での敗訴が決定した際、中国版ウルトラマンのリメイクにも意欲的な態度を示していた。
 
 また今回の制作発表で公開された「新しいウルトラマン」のデザインを描いたポスターには、背景にタイ文字が配置されており、監督の王巍氏も「この作品はオフィシャルで正式なもの」と発言していることから、円谷プロではなく、ユーエム株式会社側との連携の元に制作されたものであることが推測される。
 
 中国のファンの声としては、インターネット上のファンコミュニティを見る限り、この中国版ウルトラマンの権利問題については、現時点では大きな議論とはなっていないようだが、現場に登場したウルトラマンに対しては、「クオリティが低すぎる」として非難が集中している。
 
 かつてのウルトラマンはボディスーツを着たアクターが演じていたが、本作は全編CGであるため、プロモーションのためだけにスーツを制作することはしなかったのだろう。従来よりも筋肉質になった中国版ウルトラマンのデザインに合わせて、腹筋が6つに割れた精悍なスタイルの男性が、実物よりも顎が長いように見えるウルトラマン風のマスクを被り、銀と赤の塗料を使って、スーツのデザインを体に直接ペイントした姿で登場した。
 
 足の裏は肌色、椅子に座って足を広げると、塗料を塗り残した股間部分は下着の白い色がそのまま。司会者からは「奥さん」(ウルトラマンの中国語表記は『奥特曼』)と親しげに呼ばれ、スーパーヒーローの品格を全く感じられないその姿に、中国のウルトラマンファンたちは随分と落胆しているようだ。
 
 作品公開まであと2ヵ月程度。このまま無事上映となるかが注目されるが、今回の過去映像の使い方や半分生身のウルトラマンについては、円谷プロの主張のとおり、確かに「ウルトラマンブランドを著しく毀損」していると言えそうだ。

 なお、7月21日に円谷プロダクションより、タイ人との間で争われた書面は、タイ国家警察から委託を受けた書類鑑定委員会により偽造との鑑定意見がだされ、「当該書面が偽造であるとの結論が民事訴訟、刑事訴訟双方において出されております」と事実関係についての情報が寄せられた。また、中国において当該書面が広東省高級人民法院では、鑑定機関への鑑定委託をしないままに、偽造と認めるだけの証拠がないことを理由に有効と認められたものの、「中国の判決でさえ、当該映像作品に関する「著作権の譲渡」は認めておらず、「昭和40年代の特定の映像作品について」の「限られた範囲の利用権の許諾」のみです。そのため、昭和40年代の特定の映像作品を含むすべてのウルトラマンシリーズの映像作品及びキャラクターに関する著作権者は、いずれの国の判決に従ったとしても、一貫して当社となります」と主張している。(以上、追記)

(イメーシ?写真提供:(C)Wasan Ritthawon/123RF タイ・アユタヤのマーケットで撮影されたウルトラマン)

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