理財商品規制で変わる中国の資産形成、行き着く先は「米国型」か「日本型」か?

理財商品規制で変わる中国の資産形成、行き着く先は「米国型」か「日本型」か?

「理財商品」もダメ、「余額宝」もダメとなった今、中国人の資産形成手段は、どこへ向かうのか? (イメージ写真提供:123RF)

 中国の資産運用事情が大きな転換期に差し掛かっている。中国の個人金融資産は民間調査会社の推計によると165兆元(約2800兆円)となり、米国に次いで世界第2位の水準といわれる。2010年は約50兆元程度と推計され、近年、急速に残高を拡大した。資産形成の代表的な商品であった銀行の「理財商品」を金融当局が厳しく規制し、違反した銀行に巨額な罰金を科したことなどから、いよいよ資金シフトが本格化するとみられている。

 個人金融資産の内訳は、おおよそ40%が銀行預金・理財商品、40%が不動産といわれる。銀行を通じた資産形成が進んでいることがわかる。この銀行商品の中で、利回りと安全性の両面で優位性が際立っていたのが「理財商品」(理財=資産運用)。実質的に銀行による元本保証があると目され、リーマンショック後に急速に残高を拡大した。

 この理財商品に対し、中国人民銀行(中央銀行)などの金融当局は、「金融機関の資産管理業務を規範化するための指導意見」を2017年11月17日に通知。「金融理財商品などの元本保証禁止」を明文化した。自社注意義務の履行、顧客保護の徹底を根拠に、元本保証の行為を厳禁している。

 そして、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)は5月4日、「金融理財商品の元本保証」を続けていた招商銀行、上海浦東発展銀行に罰金を科すと発表した。それぞれから6573万240人民元(約11億3500万円)、5855万9270人民元(約10億円)を徴収することを明らかにした。招商銀行は、富裕層向けのプライベートバンキング業務に強みがあり、理財商品の販売に積極的な銀行として知られる存在だった。

 今回の処分は、今年3月に新発足(銀行業監督管理委員会と保険監督管理委員会を統合)した銀保監会の発足後、最も大きな罰金の金額であり、銀保監会の取り締まりの本気度を示すものとも受け止められている。

 「理財商品」は、これまで銀行預金(金利が2%台後半)よりも平均1%〜2%程度利回りが有利な商品として活発に販売され、中には、金利が7%、8%という商品もあった。しかも、暗黙の銀行保証があったため、「ローリスク・ハイリターン」の商品として人気があった。ここから元本保証が外されると、ミドルリスク・ミドルリターンという通常の金融商品と同じ位置づけとなり、債券ファンド、または、貯蓄性の高い保険商品が比較対象になるといわれている。

 一方、中国においては、利回りの水準で銀行預金と理財商品の中間に位置するアリババのネット決済用待機資金の運用口座「余額宝(ユエバオ)」(マネー・マーケット・ファンド)が4%程度の利回りが付くとして1.5兆元(約25.8兆円)の残高になる大変な人気を集めた。この余額宝も、昨夏に投資上限を1人25万元(約430万円)から10万元(約170万円)に引き下げる措置を取ったため、運用商品としての魅力は薄れたといわれる。

 「理財商品」もダメ、「余額宝」もダメとなった今、中国人の資産形成手段は、どこへ向かうのか? 「米国型」(運用資産偏重)と「日本型」(元本確保資産偏重)のどちらが彼らの好みなのだろうか? (イメージ写真提供:123RF)

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