世界一の新エネ車市場になった中国、補助金の縮小でも新エネ車人気は続く?

世界一の新エネ車市場になった中国、補助金の縮小でも新エネ車人気は続く?

中国は「自動車産業中期発展計画」によって、2020年の国内新車販売台数を3000万台、うち新エネ車(NEV)200万台。2025年に3500万台、うちNEV700万台、2030年に3800万台、うちNEV1900万台と計画している。(イメージ写真提供:123RF)

 中国自動車工業協会によると2017年の中国における新エネルギー車(NAV:New Energy Vehicle)の販売台数は77.7万台と前年比53.3%増と急伸した。2016年に米国を抜いて世界一となったが、それを引き離す勢いを示した。この高成長の背景になっているのが、国や地方自治体による補助金の交付。ただ、補助金の支給額は2016年と比べ17年は46%の減額になった。補助金の減額を乗り越えてNEV人気が継続するのだろうか? 

 中国は、2017年4月に「自動車産業中期発展計画」を発表し、2020年の国内新車販売台数を3000万台、うちNEV200万台。2025年に3500万台、うちNEV700万台、2030年に3800万台、うちNEV1900万台という野心的な計画を発表している。2017年の新車販売台数は約2888万台(前年比3%増)と過去最高を更新し、9年連続で世界一の自動車市場になっている。今後は質的向上を伴う市場拡大を図り、自動車産業を国内の有力な産業として育成する意志を明確にしている。

 NEVへの中国政府の注力は、2008年に開催された北京五輪で、大気汚染が世界の注目を集めてしまったことに加え、健康被害が深刻化したことなどが背景にある。発電所や重工業の工場などが安価な石炭を燃料にして大量に排出するばい煙、そして、急速なモータリゼーションの進展による自動車の排ガスなどが原因とみられている。このため、北京五輪の開催中は工場の操業を停め、市内に入ってくる自動車を大幅に制限する措置がとられた。

 2016年末に国内の自動車保有台数が1億9400万台に達し、この排ガス規制は待ったなし。欧州や米国などの主要な自動車市場で、一段と厳しい燃費規制が計画され、ガソリン車やディーゼル車を排除する動きになっていることも、中国のNEV育成策を後押ししているといえる。「自動車産業中期発展計画」においても、将来目標として「世界トップ10にランクインするNEVメーカーを数社育成する」と掲げている。

 中国のNEVは、プラグインハイブリッド車(PHV)と電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の3種を意味する。日本メーカーが得意とするハイブリッド車(HEV)はNEVとはいわない。うち、実際に販売されているのはPHVとEV。政府による補助金は、EVの航続距離(80km以上、150km以上、250km以上)やPHVのバッテリーのみで50km以上走行可能などによって支給される。支給額は年々減額する計画だが、2017年にはEVで250km以上走行可能な場合は1台あたり4.4万元(約75万円)が補助された。

 ところが、この補助金は、消費者ではなく生産企業に与える仕組みだったため、名目上だけ販売して車を倉庫に放置したり、組み立てただけで実際に走行できない車を生産したりする補助金目当ての不正行為が横行。政府は給付要件を引き上げるとともに、補助金審査を厳格にするようになった。

 この審査の厳格化などによって、2016年の補助金の支給総額は123億3000万人民元(約2133億円)、17年は66億4000万元(約1148億円)へと46.1%も少なくなった。国家監督管理プラットフォームへの未申告、要求データへの未達、走行距離の不足、基幹部品が普及推進リストと相違していた車両などで補助をカットしたという。また、技術データの偽装などの詐欺行為に対する監視も強めている。

 一方、大気汚染などの問題を抱える主要都市では、国の補助金に加えて地方自治体としても補助金を交付している。北京市の場合は、NEVの購入に対し、国の4.4万元と同額の4.4万元を上乗せ支給。さらに、ナンバープレート発給でNEVを優遇するなど、あの手この手の振興策を導入してNEVの普及を後押ししている。ナンバープレートについては、ガソリン車に対しては当選確率が数十倍〜数百倍といわれる狭き門になっているが、NEVについては販売台数分のプレートを用意し、順番待ちをすれば必ずプレートが手に入る状態にしている。もちろん、市内の通行規制はNEVには適用されない。

 また、政府による規制も補助金の削減の一方で、2019年から自動車メーカーは中国での生産・輸入量に応じて一定比率のNEVを製造販売しなければならないという「NEV規制」を導入。NEVの生産を促すことで、NEV価格の低下をめざしている。この規制に対応して、日系メーカーも含めて2018年には中国において新モデルのNEVが次々に販売される計画だ。この新モデルがNEV需要を喚起するかどうかも注目される。(イメージ写真提供:123RF)

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