また名指し!? テンセントの大人気オンラインゲームは子どもの人生を破壊する?

また名指し!? テンセントの大人気オンラインゲームは子どもの人生を破壊する?

テンセントの人気オンラインゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」の登録者数は既に2億人を超え、1日のアクティブユーザは8000万人になるという。(写真は深センのテンセント本社。写真提供:123RF)

 人気があり過ぎるため「出る杭」として叩かれているのか、それとも、社会的な批判に対する対応が鈍いために火に油を注いでいるのか、中国のオンラインゲームで史上最大のヒット作となった騰訊(テンセント)のモバイルゲーム「王者栄耀(Honor of Kings)」が、国営メディアによって、また、名指しで非難された。昨年7月にも同じく政府系の人民網に「このゲームは人生を破壊する」と批判された同ゲーム。今回は6月1日の「国際こどもの日」に合わせたキャンペーンで弾劾された。度重なる攻撃に、「政治的な思惑があるのでは」という見方さえ浮上している。

 新華社(電子版)は5月30日、「オンラインゲームが青少年や児童の心身の健康を損ない、無数の家庭に悲劇をもたらしている」と批判した。その中で、テンセントについて「青少年や児童を守るための有効な措置を行ってこなかった」と名指しで指摘した。

 文化部や教育部など複数の政府当局がオンラインゲームの弊害に着目し、過去1カ月余りで監督を強化する旨の通達が3件も発表されたものの、多くのオンラインゲーム会社がこれを無視し、改善する様子が見られなかったという。特にテンセントに関し、「自粛するどころか、新たに20タイトルのゲームを投入した」と、政府の指導を無視する無法者のような扱いだった。

 中国では以前、若者がネットカフェに入り浸って学校や仕事に行かない「ゲーム廃人」が社会問題になった。また、ゲーム依存症の矯正施設が全国にいくつも存在し、昨年夏に18歳の青年が入所後すぐに施設で死亡する事件が社会的な耳目を集めたこともあった。そんななか、2016年にオンラインゲームでトップシェアを獲得した「王者栄耀」については、「11歳の男の子が親のクレジットカードを使ってゲームに大金をつぎ込んだ」、「ゲームのやり過ぎを咎められた子どもが怒って親に暴力をふるった」、「17歳の男子が40時間連続で遊び続けて意識不明になって救急搬送された」など、未成年層の熱中ぶりがたびたびメディアに取り上げられている。

 テンセントは、昨年5月に「王者栄耀」について実名での登録を実施し、人民網で「人生を破壊する」と批判された時には、すぐさま12歳以下には1日1時間以内にプレイ時間を制限し、夜9時以降はログインできない設定にした。また、12歳以上の未成年も1日2時間までプレイすると自動的にログオフする機能を付けた。ところが、子どもたちは、親の身分証を使ってアカウントを取得し、大人と偽って長時間のプレイを続けているといわれている。

 ゲーム調査会社によると、既に同ゲームの登録者数は2億人を超え、1日のアクティブユーザは8000万人になるという。そして、テンセントは、このゲーム1本で1カ月に30億人民元(約500億円)を売り上げるという。そして、いつまでもやむことのない批判に対し、ログインするたびに顔認証機能を使って本人確認をする機能の導入を検討しているといわれている。

 一方、テンセントが名指しで批判された背景には、「政治的な思惑がある」との見方もある。一部メディアによると、テンセントは元国家主席の江沢民氏との関連性が深く、江氏の姪がかつて同社の幹部を務めていたこともあるという。習近平氏は、これまで不正撲滅のスローガンを掲げて江沢民氏に連なる幹部を次々に摘発し、失脚させてきた。この江沢民派を排除する動きがテンセントにもおよんでいるというのだが、果たしてどうなのだろう?

 テクノロジーの会社として、テンセントには逆風を技術力で跳ね返すことが期待されている。(写真は深センのテンセント本社。写真提供:123RF)

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