石が海に沈むように・・・「天安門事件」から30年、遺族らが中国指導者層にあてた公開状を発表

石が海に沈むように・・・「天安門事件」から30年、遺族らが中国指導者層にあてた公開状を発表

「六四虐殺(天安門事件)から30年が過ぎました。30年は、歴史という大河の中ではほんの一瞬にすぎませんが、人の一生にとってはなんと長い時間でしょうか」――事件の遺族グループ「天安門の母たち」が中国の指導者層にあてた公開状を発表した。(イメージ写真提供:123RF)

 1989年6月4日、中国で「天安門事件(六四事件)」が起こってから、今年で30年を迎える。このほど、全国人民代表大会・政治協商会議(両会)開幕のタイミングで、人権団体ヒューマン・ライツ・イン・チャイナ(HRIC)は6日、事件の遺族グループ「天安門の母たち」が中国の指導者層にあてた公開状を発表した。

 「六四虐殺から30年が過ぎました。30年は、歴史という大河の中ではほんの一瞬にすぎませんが、人の一生にとってはなんと長い時間でしょうか。生まれ落ちた赤ちゃんが、子どもを抱く父親や母親になるほどに長い時間です」。公開状には切々とした思いが6000文字を超える長文でつづられ、末尾には遺族127名の署名に加えて、すでに故人となった遺族55名の名前もあわせて記載されている。
 
 この公開状について報じた米国メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、「天安門の母たち」は、当時17歳の息子を失った元中国人民大学副教授の丁子霖氏らが立ち上げた遺族グループで、中国の指導者層に対し、「89年民主化運動」の名誉を回復し、「六四事件」の死傷者とその家族に公開謝罪するよう求めることを趣旨としている。

 「天安門の母たち」は、これまでも毎年のように手紙を書いてきたが、「石が海に沈むように」何の音沙汰もなかったという。今回の公開状には、「過去の両会に参加した代表者と国家指導者はみな私たちの申し立てを傲慢に扱い、聞こえないふりをして、無視してきました。私たちの善意と誠意に対して返ってきたのは、公安、国保(国内安全保衛局)、国安(国家安全部)による、さらに厳しい遺族への支配だけでした」と、遺族の置かれた苦しい状況が記されている。

 公開状によると、「署名している人はほぼ全員が法執行部門の監視のもとで暮らしている」とされ、当局が神経質をとがらせる時期になると、家に見張りがついて自由に外出したり来客を迎えたりできなくなるほか、外出を許可されても私服警官や車が尾行してくる。また、電話は盗聴され、パソコンはハッキングされており、中には公開状への署名参加をやめなければ生活保護費をストップすると警告された遺族までいるという。

 現在の体制が続く限り、中国の指導者層が「天安門の母たち」の声にこたえることはないだろうが、公開状にこめられたメッセージはネットを介して多くの人々に届いているはずだ。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)

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