止まっていた香港の新規上場が再開、デモや米中摩擦で香港の落ち着かない日々が続く

止まっていた香港の新規上場が再開、デモや米中摩擦で香港の落ち着かない日々が続く

7月18日に新規上場した晋商銀行(02558)以来、1カ月ぶりに香港でIPOが再開される見通しだ。(イメージ写真提供:123RF)

 香港証券取引所のIPO(株式の新規公開)が8月16日から再開する。7月18日に新規上場した晋商銀行(02558)以来、1カ月ぶりのこと。7月19日に予定されていたバドワイザーAPAC(百威亜太)が、「(市況状況など)総合的な判断によって」上場延期になってから、香港市場では新規上場の手続きが止まっていた。

 8月16日に新規上場するのは、香港の左官工事会社で業界5位の恒新豊(01920)。新規に6.5億株を発行する計画で、売出価格は0.20香港ドル。約9000万香港ドル(約12.24億円)を資金調達する。

 香港では、今年7月までに、月間平均で13社程度の新規上場が行われてきた。ただ、米中貿易摩擦によって市場が不安定になることもあって、3月に2銘柄、6月に1銘柄、7月に2銘柄が、仮募集まで行っていた新規上場を延期することになってしまった。また、不安定な市場環境の下で上場した銘柄の中には、公募価格に対して20%以上の安い値段で初値(上場後の最初の値段)を付けるケースもあった。

 IPOが中断する直前に上場を計画していたバドワイザーAPACは、市場から約760億香港ドル(約1兆円)の資金調達を狙った大型上場だったが、実現することは叶わなかった。

 8月に入ってからも米中貿易摩擦の様相は一段と厳しくなるばかりだ。7月30日〜31日に、中国・上海で米中通商会議が開催されたものの、両者の対立に進展はみられず、9月初めに再協議するという日程のみが発表された。そして、トランプ大統領が8月1日に突然、「9月1日から中国製品3000億ドル相当に10%の関税を課す」と発表。中国は、それに対して米国からの農産物の輸入を停止すると発表した。

 さらに、8月5日に中国人民銀行(中央銀行)が、人民元の基準値を1米ドル=6.9225人民元へと低く設定したことに対し、米国は「中国を為替操作国と認定する」と強く反発。貿易戦争が、通貨戦争へと飛び火するような事態になっている。このような両国政府の非難の応酬を受け、両国の株価は大きく下落した。

 香港の市場は、シンガポールをはじめ、マレーシアやタイの企業が上場するなど、アジアの企業に広く資金調達の機会を与える市場として国際化を進めている。そうはいっても、香港上場企業の大半は中国に軸足を置き、中国の経済成長にともなって成長を遂げてきている。米中摩擦の深刻化によって、中国経済が失速するような見通しが強まれば、香港株価の下落は避けられない。

 香港でIPOが再開されたといっても、市場に落ち着きが戻らなければ、16日上場予定の恒新豊に続く銘柄が出てくるかどうかはわからない。また、恒新豊も無事に上場できるかどうかは、これから上場予定日までの株価次第という部分もある。香港では、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案への抗議を行うデモが長期化し、週末のたびに大規模な抗議集会が開かれている。香港の頭越しに行われる米中のつばぜり合いもあり、当面は、枕を高くして眠ることができない状況が続きそうだ。(イメージ写真提供:123RF)

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