「もし私が肌を露わにしたら…」ミスカナダの美女、ビキニ審査を拒んだわけ

「もし私が肌を露わにしたら…」ミスカナダの美女、ビキニ審査を拒んだわけ

米ワシントンの記者クラブで2015年12月、ミスワールド決勝に出場できなかった経緯について説明するアナスタシア・リンさん(TheBleedingEdgeMovie.com)

ミス・ワールド世界大会は、国を代表する美女がその技能や知恵を「価値ある美」として披露するコンテストです。2014年、この大会は肌が露わになるビキニを着用する水着審査を廃止しました。カナダ代表に選ばれたアナスタシア・リンさんは2013年ごろ、この水着審査の問題について態度を示し、審査を拒否しました。

アナスタシアさんは2015年と2016年のミス・ワールド・カナダ代表です。「声なき人の声になる(Voice For Voiceless)」をモットーに、中国本土における人権問題に積極的に声をあげてきた女優で、人権活動家でもあります。

アナスタシアさんにとって、水着審査を拒むことは、尊厳を守ることを意味しました。その人の根幹をなす尊厳と、世界的名声となる女王の冠を天秤にかけたとき、彼女は尊厳を選びました。3月8日国際女性デーに合わせて、彼女の水着審査拒否のストーリーをお伝えします。

アナスタシアさんは中国湖南省で生まれました。幼いころから社交的な性格だったそうです。母親は大学で西側経済学と国際金融を教えていました。西洋教育が娘に適合すると思い、リンさんが13歳のころ、カナダ移民になりました。

アナスタシアさんは、新天地カナダに来て初めて、母国・中国での信仰者や少数民族に対する惨い人権侵害を知ることになります。「カナダで生活してから、私はやっと本当の自由を知りました」と大紀元の取材に答えました。

人権問題に関心を抱いたアナスタシアさんに、母親は、伝統気功法である法輪功(法輪大法とも呼ばれる)が中国全土で迫害されているけれど、カナダでは信仰の自由が保護されていると聞かせました。説明によると、法輪功は「真善忍」で自身を修める気功修煉法。精神や身体の健康に効果があるとして、広くムーブメントが起こりました。

7千万から1億人に至る中国人が法輪功を学んでいることに、嫉妬と不安を感じた元中国共産党総書記・江沢民は、1999年7月20日に「殲滅(せんめつ)」を掲げる法輪功迫害政策を始めました。不法な連行や拷問で信仰を放棄するよう学習者は強いられました。多くの人が死亡し、なかには国内外の臓器移植希望患者のために、臓器を生きたまま強制摘出されるといった事件も、長期に及ぶ国際調査により明らかになりました。

名門トロント大学で国際関係学と舞台芸術を学んだアナスタシアさんは、中国の人権問題について資料と証拠を集め、確かに中国共産党政府が無実の人々を弾圧していると確信しました。ほかにも、同様の非人道的な手段でチベット人やウイグル人に対する弾圧が行われていることも知りました。

リンさんは16歳のとき、人権カンファレンスに参加したことがあるそうです。そこで、イラン系の元ミス・ワールドのカナダ代表だったナザニン・アフシーン-ジャム(Nazanin Afshin-Jam)さんに会いました。―美人コンテストのプラットフォームを活用して、人権を議題に世界に伝えることができる―彼女はナザニンさんの勇気に、啓発されました。

中国人権問題に世界が関心を寄せることを願うアナスタシアさんは、23歳を迎えた頃、「声なき人の声になる」をモットーに2013年ミス・ワールドのカナダ代表選出大会に参加しました。このとき、肌が露わになるビキニを着けての水着審査を拒否しました。

「大会運営側は、私に参加する必要はないと知らせてきました。冠をかぶる可能性は消えたと思いました。しかし、この選択は正しいと信じていました」とリンさんは当時の心境を語った。

「人権蹂躙を描く映画やテレビ作品のなかで、被害者を演じ続けました」「撮影する前、私はまず強制労働教養所や、刑務所で性的暴行を受けた被害者を取材しなければなりません。大会出場に向けて、実際の被害者たちも私の活動に注目し、支持してくれていると分かっていました。もし、私が瞬くフラッシュのもとで身体を露わにしたら、被害者たちはどんな思いを抱くでしょうか」。

審査の不参加にも関わらず、アナスタシアさんは大会で3位に就いた。

2014年、ミス・ワールド機構会長ジュリア・モーリー(Julia Morley)は、水着審査を大会から永遠に取り消すと発表しました。組織委員会は、水着審査は女性に対する尊重に欠け、美人コンテストの理念を紛らわしくさせる、とコメントしました。

アナスタシアさんは伝統的な家庭や、伝統的な教育を受けた女性をも含めて各種の風習、信仰をもつ女性が参加できるコンテストの形が望ましいのではないかと語ります。

易経には、次のような言葉があります。「百行健君子以自強不息(天の運行が順序正しいように、君子は自らを向上させることを怠らない)」。アナスタシアさんは2015年に再びカナダ代表選出大会に申し込み、見事、優勝して冠をつけることができました。

娘がミス・ワールドのカナダ代表に選ばれたと聞き、中国で働く父親は喜びました。しかし、弾圧政策に異議を唱えるアナスタシアさんの父親もまた、迫害の対象になっていました。父親に対して脅迫がはじまりました。この脅しにより、父親は、アナスタシアさんに人権問題への言及をやめるか、さもなくば親子関係を切ると伝えてきました。

「もし私が脅しに屈したら、私こそ人権を侵害する共謀者になってしまうのです」父親の状況を知りながらも、なおアナスタシアさんは人権問題への言及を続けています。むしろ、彼女は父親に対する脅迫についても公にしました。「父の境遇について、国際的に注目された方が中国共産党に庇護されるより安全なのです」。

中国海南省三亜市が当時ミス・ワールド決勝大会の開催地でしたが、中国共産党政府はアナスタシアさんのビザ申請を拒否しました。アナスタシアさんは、香港から中国本土へ入ろうと試みたのですが、失敗します。香港メディアの報道によれば、中国政府は彼女を政治的に「ペルソナ・ノングラータ(迎え入れない人物)」と定め、入国拒否対象者としていました。

中国官製メディアは当初、中国出身のアナスタシアさんがミスカナダの代表に選ばれたことを「中国の栄誉」として報道しました。しかし、共産党政権のタブーである法輪功弾圧と人権問題に言及する女性と知ったとたん、手のひらを返したようです。

ミス・ワールド組織委員会は翌年、ワシントンで開かれるミス・ワールド決勝に、アナスタシアさんを再度参加する機会を与えました。

アナスタシアさんは映画や劇に出演するほか、世界各国の議会、大学、組織で催される人権問題フォーラムに参加したり講演したりしています。

「一人のカナダ人である私には、脅しに屈せず言論を発表する自由、信仰を選択する自由、正義を支持する自由、不公平に反対する自由、国を舵取りする人を選ぶ自由があります。この貴重な自由を守りたいのです」

(責任編集:蘇明真 翻訳:木村 かおり)

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