イスラエルに接近する中国 狙いは米国の機密

イスラエルに接近する中国 狙いは米国の機密

イスラエルのベンジャミン・ネタヤネフ大統領は2月、軍事施設を視察した。背景には、イスラエル軍事企業が開発した地対空迎撃ミサイルシステム「アイロン・ドーム」(JACK GUEZ/AFP/Getty Images)

イスラエルの国家安全保障会議(NSC)は3月、国内の外国投資に関する提案を内閣に提出する予定だ。同国では港湾やハイテク技術企業への中国投資が増大している。NSCは、米国の対米外国投資委員会(CFIUS)に類似した投資統制の委員会設置を提案している。

中国関係と投資への影響を慎重に見ており、提案文書内では中国について言及していない。しかし、政策方針は主に中国を焦点にしている。

イスラエルは数十年にもわたり、対外投資の受け入れを規制してこなかった。NSCは、イスラエルに敵対的でなくても、国家および戦略的な資産やインフラが外国政府や企業によって支配されたり、乗っ取られたりすることを防ぐべきだと示した。

2018年上半期、イスラエルの中国輸入額は27.7億ドルに達し、2017年同期比で47%増加した。

過去10年間で、中国共産党政権はイスラエルを含む中東で経済・軍事投資を増大させてきた。イスラエル情報部の統計によると、2012〜17年の中国から中東への投資は1700%増加し、全体で7000億ドルとなった。

米シンクタンク・ランド(RAND)研究所は、米国とイスラエルは、中東の広範囲に広がる中国の投資や経済活動を共同で監視すべきだと提言する。

近年、中国は新たな大使館設置のために、首都テルアビブ中心地の高級住宅地Herzliya Pituach地域で用地を探していたという。そこは、情報部モサド本部と軍事情報機関8200部隊本部の近くに位置している。

イスラエルのYnetニュースは2018年7月、中国企業が契約間近になり連絡が取れなくなる「ニセ商談」について報じた。中国企業は、イスラエル企業の商業機密や人材配置、製品情報などを盗用することが目的と考えられている。

イスラエルのジャーナリストで安全保障専門のヨッシ・メルマン(Yossi Melman)氏は3月24日に米誌寄稿文で、ロシアと中国は近年、対イスラエル向けの諜報活動を活発化させていると指摘した。狙いは同盟国である米国に武器を供給する軍事企業だという。

メルマン氏によれば、中国は、イスラエルの2大武器輸出企業であるイスラエル航空宇宙産業 (Israel Aerospace Industries) 社と武器製造会社のラファエル社、そしてエルビット・システムズ社(Elbit Systems、防衛システム製造)を標的にした。

3社はいずれも米国に子会社を持ち、米ボーイング(Boeing)やロッキード・マーティン(Lockheed Martin)、レイセオン(Raytheon)などと協力してF-16やF-35戦闘機、弾道ミサイル防衛システムを開発している。こうしたデザインや企業秘密は、世界中の諜報機関や政府が欲しがっている。

「明らかに中国は、イスラエルを米国の技術を盗み取る裏口として見ている」「サイバー戦争において、もし最先端技術が盗まれれば、米国や他の民主主義国に大混乱を引き起こしかねない」と、メルマン氏は危惧する。

ランド研究所の報告書では、米国防総省の情報筋の話として「イスラエルに接近する中国の主な目的は先進技術を手に入れ、貿易中継地としてのイスラエルを利用することだ」という。

報告によれば、一帯一路は、中国資本によるユーラシア大陸とインド洋地域の経済連帯を強化し、中国共産党政権による世界的な影響力を高めようとする戦略がある。また、欧州とアジアを結ぶ、イスラエルの主力港湾ハイファの新設港湾が、中国国有企業に管理されることについて懸念を示した。

「備え付け監視カメラ、ラジオ電波、光ファイバーネットワーク、携帯電波基地などの中国が設置する通信インフラは、サイバーセキュリティ、データのプライバシー、スパイ行為の危険性を高める。イスラエルの海軍基地に隣接する商業港への中国投資は、イスラエルと米国にとって安全保障上の懸念となる」

ランド研究所の報告の執筆者は、中国企業がイスラエル企業の買収と学術協力を通じて得た知識は、「イスラエルにとってどんな利益ももたらさないだろう」と警鐘を鳴らしている。

また、中国分析には知識が不十分で「中国の社会、政治、外交政策、経済学、軍事開発、および戦略的目標を理解している専門家の助けを借りる必要がある」とし、「イスラエル国内で声が高まれば、中国の経済慣行をより詳しく確かめるプロセスを設置できるだろう」としている。

(編集・佐渡道世)