フィリピン軍、中国海上民兵を警戒 3か月で中国船600隻が島に接近

フィリピン軍、中国海上民兵を警戒 3か月で中国船600隻が島に接近

2016年3月、上海に近い江蘇省の港に停泊する漁船(STR/AFP/Getty Images)

フィリピン政府は4月、南シナ海の係争地となっている島付近を数百隻の中国漁船が航行したことは「違法」であり、領域から退出するよう求めた。同軍司令官は、漁船乗船員について「中国の海上民兵と見なしている」とし、ときおり中国の沿岸警備艇が巡視しているという。

フィリピンのサルバドール・パネロ大統領報道官は4月10日、同国が実効支配するスプラトリー(南沙)諸島のコタ島(ロアイタ、南鑰)とパナタ島(ランキアム、楊信沙洲)の周辺領域から退出するべきだと述べ、領土侵入は許さず、いかなる事業もさせないと述べた。

現地メディアINQUIRERによると、3月29日、コタ島周辺を、中国漁船15隻が囲うように旋回した。コタ島は、東京ドーム1.3倍程度の大きさで、1978年からフィリピン軍が実効支配している。

フィリピン外務省の発表では、今年1〜3月の3カ月間で、275隻の中国船がパグアサ島周辺を航行した。同島周辺には、中国が軍事拠点化するスービ礁がある。

フィリピン軍西部司令部情報補佐官エルピディオ・ファクター氏は3月29日、同3カ月間で657隻の中国船舶がパグアサ島周辺に接近し、旋回したという。同補佐官によれば、中国船の乗船員は「中国の海上民兵と見なされる。ときどき中国の沿岸警備艦が警備しており、中国領域であると主張する」と述べた。

軍司令部によれば、2月10日は最大87隻の中国漁船がパグアサ島周辺を航行した。

ロドリゴ・ドゥテルテ政権は、対中貿易や中国投資を呼び込むために、対中強硬姿勢を潜めてきた。

しかし、ドゥテルテ大統領は4日、パラワン島で行った演説で、フィリピンが主権を主張する島で支配を試みる中国勢を一掃すると述べた。「これは(敵への)警告ではない。友人への助言であり要求だ」「もし島に接触するなら、別の話だ。私は兵士に自爆を伴う任務に備えるよう命じるだろう」と発言した。

こうした大統領の発言を引用して、パネロ報道官は10日、中国に「合理的な猶予時間」を与えるとし、前向きな対応を望んでいると述べた。「中国は我々の行動が準備されていることを分かっていなければならない。(中国が島に接近するなら)実際に行動を起こすだろう」と強硬姿勢をあらためて示した。

米軍とフィリピン軍は4月1日から12日まで、共同軍事演習を行っている。米軍官製紙9日付によると、米海軍はワスプ級強襲揚陸艦、少なくともステルス戦闘機F35Bが10機、MV-22オスプレイが4機、MH-60Sシーホークヘリコプター2機が参加する。参加人員は公開されていない。両軍はフィリピンの最大の島・ルソン島およびパラワン島で、水陸両用訓練、実戦訓練、都市部訓練、空港作戦およびテロ対策訓練を実施する。

南シナ海は、年間で数百兆円規模の物流を記録する貿易ルートがあり、海底には豊富なエネルギー資源が眠る。これらの権利を求めてフィリピンと中国、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが、島やサンゴ礁、海路の領有権をそれぞれ主張している。

ワシントン拠点のシンクタンク「プロジェクト2049」研究所は2018年4月、中国の海洋における軍事的活動についてまとめた報告で、中国共産党政権による台湾、尖閣諸島の侵攻は「海上民兵になる漁師が先陣となり、海警が護衛する」作戦になる可能性が高いとした。

2016年7月、オランダのハーグにある国際仲裁裁判所は、中国側が南シナ海のほとんどの領有権を主張する「九段線」は法的根拠がないとする司法判断を下した。日本を含むG7は、裁判結果を支持した。しかし、中国はその決定を受け入れることを拒否し、南シナ海の係争地域である島しょで、継続的な埋め立て工事や軍事拠点化を進めている。

(編集・佐渡道世)

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