米中通商交渉「最終ラウンド」迎えるも、中国当局の「政治的危機」増大

米中通商交渉「最終ラウンド」迎えるも、中国当局の「政治的危機」増大

ムニューシン米財務長官は13日、現在行われている米中通商協議について「最終ラウンドに近づいている」と示唆した( Toby Melville WPA Pool/Getty Images)

ムニューシン米財務長官は13日、米中通商協議について「最終ラウンドに近づいている」と示唆した。いっぽう、専門家は、通商交渉で歩み寄りを見せ続けている中国共産党政権は国内で政治的危機に直面する可能性があると指摘した。

米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)中国語電子版は11日に掲載した記事で、米中通商協議は「中国共産党政権に脅威をもたらしている」と指摘した。

記事は、貿易合意に至っても、「中国共産党指導部は、党内の幹部や地方の企業、国民に中国側が得たメリットを理解させることはとても難しいと気づくだろう」との見方を示した。

「中国国内のメディアは9カ月以上続いた米中貿易戦について、米政府の圧力の下で中国当局が不公平な条約を強いられている、と世論を誘導する」

中国政府系メディアの宣伝で、中国国民の多くは米中貿易戦について、約100年以上前、清王朝が外国列強との間で結んだ不公平条約を連想した。

VOAによると、米バックネル大学の朱志群教授は、「中国当局が通商協議で、より強い対抗姿勢を示さなければ、政治的に危険な状況に陥るだろう」と述べた。

また記事は、中国共産党内の幹部は、党トップである習近平・党中央委員会総書記が、政治的手腕と交渉能力において、トランプ米大統領と肩を並べることを望んでいると指摘した。「一部の人は、貿易戦自体が習総書記とトランプ大統領の力比べだと考えている」

昨年以降、米政府は中国製品を対象に、総額2500億ドル分の追加関税を3回に分けて実施してきた。中国当局もこれに対抗して、総額約1100億ドル規模の米国製品に報復関税を課した。

しかし2017年、米国から中国への輸入規模、約5050億ドルに対して、中国から米国への輸入規模は約1300億ドルだった。このため、米国が第4弾となる2670億ドル分の対中追加関税を控えているのに対し、中国側は報復関税を課すことができなくなった。

VOAは、中国当局が、国有企業への補助金撤廃や強制技術移転を含む米政府の要求を飲み込むと、中国の製造業と輸出業に打撃を与えるとの見方を示した。構造改革を通じて、製造業の生産コストや出荷価格が急上昇すれば、中国の輸出も影響を受けるという。

また、構造改革によって、中国当局が全面的にバックアップする国有企業は、今までの優遇措置は受けられなくなり、経営難に陥る可能性が大きく、大規模な人員削減が予想される。失業人口の急増は、中国共産党政権にとって「政治的試練」になる。

中国金融市場の本質を暴く著書『赤い資本主義』を執筆した独立系投資アナリストのフレーザー・ハウイー(Fraser Howie)氏はVOAに対して、「米中両国が通商協議で合意しても、中国国内の状況は変わることはない」と警告した。

「中国当局は、うわべでは米国に譲歩姿勢をみせているが、依然として『中国製造2025』の成功を目指している。中国当局は可能な限り、外国企業の技術を盗み、外国企業を抑えつけていくだろう」

中国共産党政権にとっては、米中関係や西側の自由経済市場の理念よりも、「一党独裁体制がはるかに重要である」

現在行われている米中通商協議には新たな進展があった。

ムニューシン米財務長官は13日、国際通貨基金(IMF)の関連会合に参加した際、米中貿易交渉について「最終ラウンドに近づいていることに期待を寄せている」と述べた。また、米中貿易合意は、米国の過去の取り組みを「はるかに超えるものになるだろう」との認識を示した。

長官は10日、米CNBCに対して前向きな発言をした。長官によると、米中双方は両国が確実に合意事項を履行するために、「執行検証機関」を開設することで一致したと明かした。しかし、「解決しなければならない重要な作業がまだある」とも述べた。

在米中国経済学者の夏業良氏は、米中双方が各自で貿易合意の「執行機関」の設置について一致したが、「実際に米側が中国側の履行状況を監督していく可能性が大きい」との見方を示した。米国は、中国当局のように国際貿易慣行に違反したことがないからだという。

いっぽう、ペンス米副大統領は11日、CNBCのインタビューに応じ、「米国は、中国側との間で貿易合意に至る自信がある。しかし、交渉が失敗した場合、米国は中国製品に対して、今までの倍の関税措置を実施するだろう」と中国側をけん制した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは11日、情報筋の話として、3月末に行われた米中通商交渉で中国代表団が、米企業のクラウド・コンピューティング市場への進出について、譲歩したと報道した。中国側は、特定の外資クラウド・コンピューティング企業に対して、出資率が50%を上回ってはいけないという制限を撤廃する姿勢を示した。

しかし、米ニューヨーク市に本部を置く「米中科学技術文化交流協会」の謝家叶会長は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)11日付に対して、「中国当局のインターネット安全法の規定では、海外企業が中国で直接、クラウド・コンピューティング業務をすることは不可能だ」と指摘した。

米メディアの報道によれば、ムニューシン米財務長官は13日、「来週にも中国の劉鶴副首相と電話会談をする」と述べた。

(翻訳編集・張哲)

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