銃声、瀕死の負傷者、助け合う人々…カナダ人記者、至近距離で捉えた天安門事件の映像公開

銃声、瀕死の負傷者、助け合う人々…カナダ人記者、至近距離で捉えた天安門事件の映像公開

六四天安門事件で、自由を象徴する像の前に座る若いカップル。広場の拡声器から放送されている政府声明を聞いている(Screen Shot)

北京の天安門広場で、自由と民主を訴えた学生たちが、中国共産党政権の武力行使により鎮圧された「六四天安門事件」から30年。このほど、当時の学生運動を取材していたカナダのジャーナリストは撮影した未公開の映像を元に、13分のドキュメンタリーを作成した。カメラは、愛国心と正義感、助けあい、団結する中国の若者たちの情熱を、至近距離でとらえていた。

2017年末に機密の解かれた英公電によると、天安門事件で1万人の犠牲者が出たという。2019年、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で、出席した中国国防部長・魏鳳和氏は壇上で、1989年の天安門における学生運動に対する武力鎮圧は「正しい」と述べた。

当時、NBC記者だったアーサー・ケント氏が撮影した映像は、1989年6月4日午前3時、人民軍の銃声を記録した。突然の出来事に動揺する若者たちだが、いっぽうで、仲間たちを想い、助け合う姿が映っている。銃弾を受けた若者を手当てする医学生、拡声器を使って冷静さを保つよう促す声、「投降」した人民軍兵士に非暴力を呼び掛ける様子が記録されている。

「当時、長安街(天安門広場に通じる北京のメイン通り)にいる学生に、長安の意味について訪ねた。『永遠の平和』と彼は答えた。学生は本当に心からこの国を愛し、国が混乱に陥ることを望んでいない」とケント氏は回想する。

中国共産党政権はのちに、天安門事件を「反革命暴乱」と位置付け、この姿勢は今も変わっていない。

動画の中でフォーカスされる、民衆の英雄像の下に座る若い男女は、無事が確認されている。香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストによると、男性は香港中文大学の学生でケネス・ラムさん。天安門広場における学生活動とハンガーストライキに参加していた。香港で弁護士として働いており、天安門事件追悼集会が開催されると、登壇している。女性は北京の学生で、チェン・ゼンさん。天安門事件の抗議者を支援する運動を香港で続けた。現在は米国に住んでいるという。

ラムさんは、「北京の学生たちは、兵士が動き出すと、僕をかばい助けてくれた」と同紙に述べ、若者たちの結束が強かったことをうかがわせた。

ケント氏は、香港フリー・プレスの取材に対して「映像から当時の抗議者たちが何に耐えていたかを思い出してもらいたい。人生を突き動かした情熱、そして抑圧と処罰という巨大で重武装した機械が、全世代の自由への希求を粉砕したことを」と述べた。

ケント氏は、英紙オブザーバ、カナダのメディアCBC、米NBCなどに報道作品を提供している。同氏の作品で1989年6月4日の天安門での出来事を学生視点でとらえた「六月の黒夜(Black Night in June)」は、ケント氏の運営するウェブサイト・スカイレポーターで5月16日に公開された。

(編集・佐渡道世)

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