〈香港デモ〉殴られた記者は工作員の可能性、中国当局 突然報道を沈静化

〈香港デモ〉殴られた記者は工作員の可能性、中国当局 突然報道を沈静化

中国当局はこのほど、香港国際空港で抗議者らに襲われた「環球時報」の付国豪記者に関する報道を沈静化し始めた(Anthony Kwan/Getty Images)

香港国際空港では13日、抗議デモに参加した一部の市民が、中国政府系メディア「環球時報」の付国豪記者を、抗議者に扮した警官と疑い殴った。中国メディアは14日、相次いで付氏を英雄だと大々的に報道したが、15日になると付氏に関する報道は急激に減った。米ラジオ・フリー・アジア(RFA)15日付によると、付氏に関して中国情報機関の工作員だとの見方が広がっている。

付記者が香港国際空港で抗議者らに攻撃された後、中国当局と各メディアは世論操作を行い、香港人デモ参加者へのバッシングを強めた。当局はまた、香港に軍を派遣し、2カ月を経過した抗議デモを武力鎮圧すると威嚇している。

RFAは、14日未明に始まった付記者に関するプロパガンダ報道が10時間以上続いた後、「当局は突然、報道を沈静化し始めた」とした。

報道によると、付記者の身分証に記されている北京市海淀区万寿路の住所は、中国国家安全部(省)の職員寮だという。国家安全部は中国の情報機関だ。

また、付記者は、2つの違う名前の銀行口座を持っているという。付記者は環球時報のほか、北京市にあるコンサルティング会社、世華万向資訊公司にも勤めていることが分かった。同社は、海外に進出する中国語メディアに対して知識や情報を提供している。

情報筋はRFAに対して「付記者の件について不可解なところが多くあるため、関心が高まっている」「付記者が観光ビザで香港に入ったのに、取材活動を行ったというのはその1つの例だ」と話した。情報筋によると、中国当局や人民日報は当初、付記者が香港人デモ隊に殴られたのを利用して、国内で民族主義をあおり、香港市民への圧力を強化しようと狙った。しかし、付国豪氏が国家安全部のスパイである可能性があると指摘されたため、今はその企みを諦めたという。

共産党のプロパガンダ担当機関「中央宣伝部」の担当者は、付国豪氏について「話を避けている」と情報筋が述べた。

この情報筋によれば、中国公安部国内安全保衛局(国保)の秘密警察には2つの氏名を持つことが許されている。「一般人が名前を2つ持つことはまず不可能だ」という。

中国人ジャーナリストの劉氏はRFAに対して、香港国際空港での付国豪氏の言動を批判し、「記者は出来事の記録者であるべきで、関与者になってはいけない」と述べた。また、同氏は「環球時報は中国共産党の代弁者の役割を果たしてきた。報道の自由は全くない。同紙の記者は中国当局の手先に過ぎない、真のジャーナリストではない」とした。

環球時報の胡錫進・編集長は16日、米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対して、付国豪記者について国家安全部の工作員ではないと強調した。しかし、胡編集長は、13日、香港国際空港にいた付記者が「記者証」を持っていなかったと認めた。付氏は当時、同紙のために抗議デモの写真撮影をしていたという。

(翻訳編集・張哲)

関連記事(外部サイト)