失速する中国経済 政府は個人消費とインフラの後押しを図る

失速する中国経済 政府は個人消費とインフラの後押しを図る

中国政府は最近、特に消費者支出と小売支出を押し上げるための新しい経済刺激策を発表した。写真は上海のビル解体現場にいる女性の出稼ぎ労働者 (JOHANNES EISELE/AFP/Getty Images)

世界第2位の中国経済の成長が失速する中、8月の中国の工場生産量は4カ月連続で減少した。

国家統計局が8月31日に発表した公式指標によると、8月の購買担当者指数(PMI)は49.5まで落ちた。これは7月より0.2ポイント下回り、さらに景気後退を示す50ポイントを切った。輸出注文量からなるPMIのサブインデックスは47.2とわずかに上昇したが、依然として景気後退の領域にある。

PMIは工場の活動を計るもので、商品の将来の需要を示す主要な経済指数だ。

米国との貿易戦の影響で製造業は継続的に低迷し、中国の予測される経済成長に大きな影響を与えている。

悲観的な製造業者のために中国政府は最近、特に消費者支出と小売支出を押し上げるための新しい経済刺激策を発表した。

中国国務院(日本の内閣に相当)は8月下旬、消費者支出と小売販売の減速を改善するため、多数の新しい景気刺激策を発表した。

中国共産党は経済の長期目標に沿って、個人消費とサービス業に焦点を当てることにより、中国の経済モデルを他の先進国の市場に近づけようとしている。

その取り組みの一環として、ショッピングモールのアップグレード、ショッピングエリアの改善、ネットの小売業者と工場のさらなるコラボレーションの促進を目的とした政策文書を発表した。

国務院の声明によると、政策文書に「クラウドコンピューティング」と「ビッグデータ」の開発、「交通施設」と「クレジットシステム」のアップグレード、そして夜間のショッピングを促進するための営業時間の延長、オフライン企業が「新しいビジネスの哲学、技術、デザイン」を導入してデジタル経済を活用できるよう支援する、などが盛り込まれている。

その他の政策にも変更があり、国務院は自動車販売を制限している地方政府に対し、徐々に規制を緩め、または解除し、自動車の購入を促進するよう指示した。この政策の背後には、中国の自動車産業が7月の時点で13カ月連続の販売台数減少に苦しんでいることがある。中国自動車工業協会の8月12日の発表によると、7月の自動車販売台数は4.3%減少した。

「私たちの収益は去年よりも大幅に減少しました」中国南部の広東省広州市にある吉利ディーラーで働く職員はNikkei Asian Reviewの取材でこう話していた。

「それは経済が不況だからです」

個人消費の後押しに加え、中国政府は再びインフラ整備によって経済の低迷から抜け出そうとしている。

中国経済の第2四半期の成長率は前年比6.2%増となり、ここ30年近くの公式な統計で最低の成長率となった。しかし、本当の成長率は発表された数字より数パーセント低いだろう。北京大学光華管理学院で経済学の教授を務めるマイケル・ペティス(Michael Pettis)氏は、実質の国内総生産(GDP)成長率は3%以下だと推測している。

「皮肉なことに、貿易戦が悪化すればするほど、公式なGDP成長率は上がるでしょう。中国が貿易戦の影響を受けていないとアピールするために、中国政府は高い成長率を発表するでしょう」ペティス氏はスイスの経済雑誌「The Market」の今年の取材でこう話した。「しかし、発表されたGDP成長率は本当の経済状況を反映したものではありません」

しかし、貿易戦とそれに伴う製造業の低迷、そして需要の減少は問題の一部に過ぎない。

中国の債務負担を軽減するため、中国政府のインフラ支出も近年減少している。政府はインフラへの義務的な支出を通して、道路、鉄道、および他の不動産開発を行ってきた。これは過去10年間、経済と雇用の拡大を促す主な方法だったが、最近のインフラ支出はここ数年間で最低の値まで落ち込んだ。

これまで、インフラの資金調達は、地方政府の債券を国営銀行が買い取る形で行われてきた。しかし中央政府は近年、特に地方や地域レベルでの新規の債券発行を制限している。

ところが、この傾向はここ数カ月でまた逆転した。国家金融・発展実験室のデータによると、中国の6月末のGDPに対する債務比率は249.5%まで増加した。今年3月の同比率は248.8%で、2018年12月末には243.7%だった。

インフラ支出のために地方政府がさらに債券を発行したことにより、政府部門の債務は第2四半期に増加した。中央政府は最近、建設資金の制限を解除し、地方政府が特別な債券を使って建設プロジェクトの資金を集められるようにした。さらに、地方政府は9月末までに今年の年間割当量を満たすよう、債券発行を加速させるように催促されているので、第4四半期にはさらなる割り当てがあるかもしれない。

(大紀元日本ウェブ編集部)

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