欧州5G配備、華為排除でも10万人の中国ハッカー攻撃で金銭的負担=分析

欧州5G配備、華為排除でも10万人の中国ハッカー攻撃で金銭的負担=分析

2019年2月25日、スペインのバルセロナで開催された世界最大級のモバイル業界展示会MWCに表示された5Gのディスプレイ(Josep Lago/AFP/Getty Images)

欧州の著名な通信業界分析企業は、年次予測のなかで「中国問題の議論に未熟な見方が多く、主要技術を独裁国家に渡すことの影響を深く考えていない」と指摘した。

デンマークのコペンハーゲンを拠点にするストランド・コンサルト(Strand Consult)社は1990年代後半から、欧州の通信業界に技術革新、規制構造、および設備投資戦略に関して助言を行ってきた。同社が発表した「通信技術業界の2020年の予測」によれば、欧州の技術の優位性は2010年代半ばに中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)に猛追された。

ストランド社は、2019年は5Gが主要な話題となり、イノベーション、セキュリティ、包括的なデジタル社会など通信技術が社会にもたらす価値についての議論が再開した年だったと評した。

この議論の鍵となったのは、華為科技の商慣行の見直しと、中国政府の補助金を受けながら欧州の5G市場を占有しようとする企みだ。1987年に中国人民解放軍のエンジニアだった任正非氏によって設立された華為技術は、通信機器の世界トップにまで成長した。年間1000億ドル以上の収益を上げ18万人の従業員を有している。

しかし、ストランド社は、華為技術の驚異的な成功は、技術窃盗と関係していると指摘した。2003年の米通信技術大手シスコ(Cisco)のルーターテクノロジーの窃盗、2008年の中国軍による米3Com買収案のとん挫、2014年のT-モバイルのロボットアームの盗難などの事例をあげた。

ストランド社は、これまでメディアは中国製機器の問題を議論する際、華為技術に焦点を当てていたが、2020年に、議論は短編動画アプリTikTok(抖音)、2016年に中国企業に買収されたプリンタ部品メーカー・レックスマーク(Lexmark)、中国科学院が80年代に創設した聯想集団(レノボ)、テレビ世界3位のTCL集団にも広げるべきだとした。

さらに、ストランド社は、中国官製の報道機関が、華為技術の製品が最も優れているという未確認の主張により、多くのジャーナリストやメディアを誤解させることに成功した、と警告した。

その一例として、800社のモバイルオペレーターと300社のサプライヤー企業を代表する国際貿易ロビーグループのGlobal System for Mobile Association(GSMA)の主張に注意喚起している。

2019年、米トランプ政権は欧州の同盟国に対して、次世代通信規格5G網の設備から中国企業を排除するよう呼び掛けていた。同年6月、華為技術のサプライヤーから資金提供を受けていたGSMAは、報告書「通信ネットワークにおける中国の機器の撤去と交換にかかる実際のコスト」を発表。欧州が華為技術とZTEを通信機器から排除すれば、5G費用が620億ドル増加し、ネットワーク配備が18カ月遅れると警告した。この報告は反響が大きく、欧米主要メディアはこぞって報じた。

ストランド社はGSMAの主張に反論した。同社の研究によると、欧州から2社の機器を除いて5Gを配備した場合、費用の差は35億ドルに過ぎないという。

しかし、中国企業を排除した欧州電気通信プロバイダーには、「企業顧客を攻撃する10万人もの中国人ハッカー」の能力を毎日制限することによる金銭的負担がかかるとも付け加えた。

ストランド社による2020年モバイル通信業界の予測では、ほとんどの欧州諸国の5G整備は満足できるものに達することはできないが、モノのインターネット(IoT)テクノロジーへの顧客の期待と要求に応じて、従来から市場を支配する欧州企業の信頼性の高い固定ワイヤレス・アクセス・ソリューションに対する需要は高まるだろうと見込んだ。

(CHRISS STREET/翻訳編集・佐渡道世)

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