米司法省、中国政府代理人で中国軍中尉らを起訴 すでに出国

米司法省、中国政府代理人で中国軍中尉らを起訴 すでに出国

米司法省はこのほど、中国政府代理人で中国軍中尉を起訴したと発表した。写真は中尉が務めていたボストン大学(Flickr)

米国司法省は1月28日、中国軍中尉・葉燕青(音訳Ye Yanqing、29)を、中国政府の代理人であることを申告していないとして、刑事起訴した。葉はすでに米国から中国に戻った。同省は同時に、ハーバード大学の教授と中国籍の2人の起訴を発表した。省代理人によると、これらの起訴は、中国共産党政権による米国の知的財産窃盗の活動の一環だという。

司法省の発表によると、葉は学生ビザ(J-1)で2017年10月〜2019年4月までボストン大学に留学していた。このほど、同大学の物理研究所に務めるとして、学生ビザの延長を申請した。米審査官が背景を調査したところ、葉が中国軍に兵役し、かつ中国政府のために活動する「外国政府代理人」であることがわかった。

起訴状は、葉が「中国政府の代理人として行動していたが、これを司法長官に通知していなかった」と指摘した。また、軍位を隠して学生ビザを申請していたため、虚偽に基づくビザ申請として追訴している。

司法省の起訴状によると、葉には、2人の協力者がいる。名前は公開されていないが、どちらも、中国軍に直属する国防技術大学の仕事をしている。そのうちの1人は「ロケット発射装置に関する軍事研究プロジェクト」に参加し、もう1人は同大学の教授だという。

葉ら3人の上司は中国軍大佐で、国防技術大学の教授だという。上司は、米軍サイトの調査や米軍の研究文書を中国へ送付、葉のアカウントを利用して中国からボストン大学のネットワークにアクセスすること、海軍大学の教授の調査等々を指示していた。

起訴状にある録音記録には、葉が同僚との会話で「米国人は私たちに対して、予防策を講じている」と発言したという。

葉は中国ソーシャルサイト微信(WeChat)を使って、中国国内の同僚と連絡を取り合っていた。WeChatで「中国軍による米軍軍事戦略データの解読とリスク評価」に関する研究論文について議論していた。

葉はまた、ターゲットとなる米大学の教授の情報を収集するよう命じられた。

葉は2019年4月、米ボストンのローガン国際空港で出国準備中、米国税関・国境警備局および米捜査局(FBI)職員から質問を受けた。葉は、中国軍に所属していることを認めたが、政府の代理人であるとは言わなかった。葉らはすでに中国に帰国しているため、逮捕されていない。

司法省はほかに、2件の中国関連の刑事起訴案件を公表した。ハーバード大学の化学・化学生物学部の学部長チャールズ・リーバー教授を、中国の研究機関との関係について米政府機関への開示を怠ったとして、虚偽申告の罪で起訴した。

教授は、中国政府が海外の優秀な人材を支援する「千人計画」に参加し、武漢工科大学に2012〜17年まで「戦略教授」として所属していた。教授は、武漢工科大学から3年間、毎月5万米ドル(約540万円)の給料のほか、年間15万米ドル(約1620万円)の生活費を支給されている。さらに、研究所設立費として150万米ドル(約1億6200万円)以上の資金を受け取っていた。

また、2019年10月、ボストンのローガン国際空港で、細胞サンプル21点を小瓶に入れて中国に密輸しようとした、鄭肇松(音訳Zheng Zaosong)を刑事告発した。鄭は、2018年から、同市ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター (Beth Israel Deaconess Medical Center)でがん細胞の研究者として勤めていた。

司法省代理人アンドリュー・レリング(Andrew Lelling)弁護士は28日の記者会見で、この数件の中国共産党に絡む起訴を「大規模で長期的な米国の技術窃盗の行為の一環」とした。

(王翔/翻訳編集・佐渡道世)

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