中国がRCEPに積極姿勢

 【北京=三塚聖平】日本やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉で、中国が早期の協定発効に積極的な姿勢を示している。交渉撤退を示唆したインドに復帰を呼びかける一方、インド抜きでも署名を目指す構えを示唆。米国との対立が深刻化する中、米以外の国々との関係強化を急ぐ狙いがうかがわれる。

 「参加各国とともに努力してRCEPの自由貿易圏を作り上げることを望んでいる」。中国商務省の高峰(こうほう)報道官は14日の記者会見で、RCEPの実現にこう意欲を示した。

 外務省の耿爽(こうそう)報道官も5日の記者会見で、「互いに理解し譲り合う精神に基づいて、インドに関する問題を各国とともに話し合いで解決したい」とRCEP交渉妥結に向けてインドに働きかける考えを示した。インドはRCEPが発効すれば、中国から安価な製品や農作物の輸入が増加して国内経済が打撃を受けると懸念し、11月上旬のRCEP首脳会議でこの先の協議に参加しない可能性に言及。耿氏はインド側の懸念を念頭に、「中国はインドに対して貿易黒字を追い求めるつもりはない」と強調している。

 一方で、中国側はインド抜きでもRCEP発効を急ぐ構えも見せている。

 「15カ国で先に進む」。シンガポール紙の聯合早報(電子版)は4日、中国の楽玉成外務次官がこう発言したと伝えた。インド抜きの15カ国でも署名を目指すことを示唆した形だ。

 日本は、2020年にインドを含めた16カ国での署名を目指している。それに対し、中国はたとえインドが外れても発効を急ぎたいという本音がうかがわれる。米国との貿易戦争で、中国経済が減速傾向を強めているためだ。香港紙の文匯報(電子版)は「RCEPは貿易戦争の避難口になっている」と指摘する。

 また、米国と対立を深める中で各国とつながりを強めることも期待される。習近平国家主席は5日に「中国国際輸入博覧会」の開幕式で行った演説で、RCEPの早期署名に期待を示したほか、欧州連合(EU)との投資協定や、日中韓自由貿易協定(FTA)を進める考えを強調している。米国以外の国と関係を強化することで、トランプ米政権を牽制(けんせい)する思惑も垣間見られる。

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