中国で邦人9人がスパイ罪で拘束中、解放された北大教授が語る「共産党のやり口」

中国で邦人9人がスパイ罪で拘束中、解放された北大教授が語る「共産党のやり口」

総理、ご再考を!

 かの国に捕らわれた日本人が、まだ9人もいるのだから手放しで喜べまい。11月15日、中国政府は2カ月ぶりに北海道大学の岩谷將(のぶ)教授を解放した。その裏には、来年春に国賓来日する、習近平国家主席の影が見え隠れする。

 中国が4年前に「国家安全法」を施行して以降、解放された北大教授を含め14名の邦人が身柄を拘束されてきた。罪状は主に“スパイ罪”で、最高刑は死刑。極刑が下される重罪なのである。

 幸いにして解放された北大教授も、その嫌疑がかけられた。中国当局の言い分をそのまま書けば、拘束理由は「古書店で買った本を持っていた」から。市販されていたモノを所持することの何が問題なのだろう。

「中国では、共産党の内部資料も時が経てば古本屋で入手できる場合があります」

 と話すのは、現代中国政治が専門で慶応義塾大学教授の小嶋華津子氏だ。

「研究者なら、現地の史料を集め論文を書くのは当たり前ですが、どのような情報が法に触れるのか明確でないので不安は尽きません」

 実際、中国で拘束された経験を持つ、明治大学教授の鈴木賢氏はこう振り返る。

「3年ほど前、湖南省で農民にインタビューをしていたら、警察官が10人ほどやってきて、仲間と共に連行されたことがありました。釈放されたのが夕方だったので、中国式のカツ丼ともいうべき食事を振る舞われました。最終的には、“この度の入国ビザでは認められない取材活動をした”との説明を受けました。現地史料を集めて、実証的な研究を行う岩谷教授の手法も、中国側にとっては脅威だったのだと思います」


■「予測できない」


 来春に北京大学から招聘を受けている鈴木氏は、まだ返事を保留している。

「何が理由で拘束されるか分からないのでは、私も心配です。専門家なら、情報収集のために現地と繋がっていたいと思うのが自然で、ならば共産党を刺激しかねない論文を書くのは控えようとする動きも出てくる。そうやって、共産党は国外の研究者をもコントロールしようとしているのです」

 当の岩谷教授は、書面を通じて、帰国後初めてその胸の内を明かしてくれた。

「現時点で拘束中の方がいらっしゃることもあり、私の発言がどのような影響を与えるのか予測できないため、コメントについてはご容赦頂ければ幸いです」

 もの言えば唇寒し、という風潮が生み出されつつある。そんな彼らのやり口に、香港では若者たちが戦っているのはご存じの通り。同地でも書店主が中国本土へ拉致されたり、香港大学の民主化運動を監視するスパイが送り込まれていたことが判明している。我が国もこのまま習主席を国賓として迎えていいのか。

 中国問題グローバル研究所所長の遠藤誉氏が言う。

「北大教授を早期に解放したのは、習近平を招待した安倍総理が批判を受けるのを避けるためではないでしょうか。米中貿易戦争で日本にすり寄ろうとする目的が明確な今、多額の税金でもてなす国賓として招くとは、何事かと思いますね」

 まずは拘束された邦人全員を解放するのが筋だろう。

「週刊新潮」2019年12月5日号 掲載

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