【新型コロナ】中国の感染症対策を「素晴らしい」と褒め称えるWHOの思惑

【新型コロナ】中国の感染症対策を「素晴らしい」と褒め称えるWHOの思惑

習近平国家主席

 封じ込めに失敗しながら、WHOを平伏させて「緊急事態宣言」を遅らせたと非難される習近平国家主席。そんな彼を、はたして「国賓」として迎えていいのか。

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 ウイルスを流出させた中国は、「一党独裁」の体制下で多くの死者と感染者を出し、もはや武漢は「無法地帯」と化している。

 もっと早くにWHO(世界保健機関)が「緊急事態宣言」を出していれば……。大混乱に陥った日本政府はもとより諸外国も、中国からの渡航者をいち早く制限できたという指摘は数知れない。

 事実、感染者が爆発的に増えて武漢が封鎖された1月23日の時点で、WHOは専門家を招集した緊急委員会を開いたものの、宣言は見送り。再び30日に開かれた会合でようやく宣言するに至ったのである。

 一連の対応を欧米メディアは痛烈に批判している。仏「ル・モンド」紙は、初回の委員会に参加した中国当局の人間が、宣言に大反対したとの内幕を報じた。

「WHOの対応は明らかに遅かったと思います」

 とは、国際医療福祉大学教授(感染症学)の松本哲哉氏だ。

「緊急事態宣言が出てしまえば、中国からのヒトとモノの移動はかなり制約され、経済的な影響は大きい。習主席からすれば絶対に宣言は出して欲しくない、そう思ったのでしょう。ですから、あれだけ感染者が増え、かつ世界各国に広がり始めた状況でWHOが宣言を見送ったのは、中国への配慮があったと思います。しかも、WHOのトップであるテドロス事務局長は、緊急事態の宣言を発表した会見で、中国の感染症対応を素晴らしいと褒め称えている。患者が減ったなどの結果を出しているのならまだしも、未だに増加している状態で中国を賛美するのはおかしなことです」


■「天皇陛下に謁見」


 なぜこうまでWHOは中国に気を遣うのか。それは事務局長がエチオピア人であることに由来する。

『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』の著者で中国問題グローバル研究所の遠藤誉所長が言う。

「エチオピアは中国が進める『一帯一路』における要衝の一つ。たとえば鉄道建設では中国が最大の投資国(85%)です。もはやチャイナ・マネーなしでは国家運営は成り立たない。そのため、テドロス事務局長は習主席と入魂(じっこん)の仲で、エチオピア政府で保健相と外相を務めていたこともあって王毅外相と親しい。3年前のWHO総会で、中国の後押しにより事務局長に就任することができたという恩もあります」

 とっくにWHOのトップは習主席にひれ伏して中国の軍門に降(くだ)っていたワケだ。

 遠藤氏はこうも続ける。

「安倍首相は、新型肺炎で地球上の人類が危機に立たされている状況にあってもなお、4月に習主席を国賓として来日させることに意欲を燃やしています。そうなれば、天皇陛下に謁見することになり、窮地に立つ中国はその映像を全世界にばらまいて失地回復に利用するでしょう。それは結果的に共産党による一党支配体制を延命させることにも繋(つな)がります。これまでの中国政府の行いに対して、まるで日本政府が免罪符を与えたかのような印象を世界中に広めてしまい、コロナウィルスをまき散らした全責任が解消されることにもなりかねない。ですから、習主席を国賓として迎え入れるのは大間違いなのです」

 収束まで少なくとも半年はかかるという予測も出る中、春に習主席が来日となれば大勢の中国人随行団を伴うことになるだろう。国賓となれば晩餐会も開かれて、陛下と握手する機会も増えるのだ。

 まさに今、日本の「自浄能力」が問われているといっても過言ではあるまい。

「週刊新潮」2020年2月13日号 掲載

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