総裁候補トリオの“安倍管理”に頭を悩ませる日本の有権者たち=韓国報道の視点

総裁候補トリオの“安倍管理”に頭を悩ませる日本の有権者たち=韓国報道の視点

総裁候補トリオの“安倍管理”に頭を悩ませる日本の有権者たち=韓国報道(画像提供:wowkorea)

日本の次期自民党総裁選に出馬する候補たちが一斉に安倍晋三元首相を意識する姿を見せている。誰が新しい首相になったとしても安倍元首相の影から抜け出すことは難しいという懸念が出ている理由だ。安倍元内閣で失敗した政策を公約に掲げる彼らの姿に有権者の不満が強い。

◇安倍元首相を意識する3人の総裁候補

最も露骨に安倍継承を叫ぶのは高市早苗元総務大臣だ。安倍元首相の全面的な支持を受けている高市氏は“女性リトル安倍”と呼ばれている。

高市氏が出馬を宣言した今月8日、高市氏は『サナエノミクス』を唱えた。安倍元内閣の大規模景気緩和政策である『アベノミクス』に従ったものだ。金融緩和、早い財政支出、大胆な危機管理投資および成長という“3本の矢”を模倣し、事実上、安倍元首相の政策を継承するという意味とみられる。

“女安倍”に負けまいと、穏健保守派に分類される岸田文雄元政調会長も乗り出した。先月、最も先に総裁選への出馬を宣言した岸田氏は、今月8日の記者会見で「デフレから抜け出そうとすることには変わりがない」とした。

アベノミクスの成長戦略3原則を堅持すると明らかにしつつ、「3本の矢」について言及した。岸田氏は、30兆円規模の財政政策を展開し、経済的被害を埋めなければならないとも主張した。

過去にアベノミクスを猛非難した河野太郎行政改革大臣も安倍元首相の顔色をうかがっている。河野氏は一時、自民党の党論と合わない主張もはばかることなく出すなど、“KY(空気を読まない)政治家”とも呼ばれた。

自民党行政改革推進本部の本部長として活動していた2017年には「大規模金融緩和に伴うリスクを国民に説明する必要がある」として1人で責任を負おうとしたこともあった。

しかし、今月10日の自民党総裁選出馬記者会見では、「アベノミクス」に対する批判の水位を一層下げた。アベノミクスをどう評価するかという質問に「企業部門は莫大な利益を収めることができたが、残念ながら労働者の賃金上昇にはつながらなかった」という程度の言及にとどまった。

規模については明らかにしなかったものの、財政政策の拡大を否定しなかったことも、保守層を意識し批判のレベルを調整したように見えた要因だ。

◇候補トリオの“安倍意識”はなぜ?

3人の総裁候補が安倍元首相の顔色を伺う理由としては、まず、現政権を指揮している菅首相の支持率が暴落したのは保守層が背を向けたためだというムードが強いという点が挙げられる。

菅政権が1年で退陣するのは、当初は“安倍継承者”として期待されていた菅政権が保守派が理想的だと考える安倍元政権の国家観を継承しなかったためだと分析されている。

A級戦犯らが合祀された靖国神社を頻繁に訪れて参拝した安倍元首相とは違い、菅首相は首相職に就いて以降、靖国神社に直接立ち寄って参拝したことはない。これをめぐって、菅首相が極右有権者たちを失望させたという評価が出るほどだった。

また、日本では中小自営業者たちが主に保守性向を帯びているという点も支持率下落の要因に挙げられている。新型コロナへの対応策として、東京都など首都圏で緊急事態宣言を発令した際に営業時間を午後8時までに制限した上に酒類販売の自粛を要請するなど、飲食店に過度に厳しい防疫規則を適用したことで菅首相の人気が下がったという。

安倍元首相が依然として自民党総裁選挙の黒幕として強い影響力を行使できるという点も、候補たちに安倍元首相を意識させる要因だ。安倍元首相は党内最大派閥である細田派(96人)にまだ大きな影響力を持っている。また、安倍元首相が“3度目の正直”として総裁選に出馬する可能性も依然としてある。

◇「失敗した政策をなぜまた持ち出すのか」不満の声も

しかし、保守一辺倒で“右向け右”状態の3人の次期首相候補に対する視線は厳しい。アベノミクスを実施しても2%のインフレや経済成長目標を達成することしか出来なかったにも関わらず、再び失敗した政策を公約として打ち出していることに失望しているのだ。

当時、安倍元首相は「2年内にインフレ2%を達成し、消費を活性化させ、労働者の賃金を引き上げ、経済成長の好循環を成し遂げる」と豪語したが、8年が過ぎた今まで、貨幣を発行したものの先月基準の物価上昇率は0.2%に過ぎず、経済成長も期待に及ばなかった。

空振り政策に使った費用が多すぎるという指摘も出ている。日本政府が発行して日銀が買い付けた国債は、アベノミクス以前の4倍にも上る500兆円を超えている。

朝日新聞系列の週刊誌『論座』は今月11日、地震や火山噴火などの自然災害で国債価格が暴落することで起こり得るシナリオを提示した。結論から言えば、財政が急激に悪化した新興国でよく見られる経済危機の典型的なパターンが日本でも現れかねないという。

シナリオはこうだ。国債が暴落すれば、真っ先に日銀財務諸表が悪化し、信用度が落ちる。急激な円安で海外輸入品の価格は暴騰する。これによって短期間に急激なインフレを誘発する。これに対応するため、日銀は急いで金利を引き上げる。日本の経済活動には歯止めがかかり、再び不況に陥るというシナリオだ。

「アベノミクスは詐欺ノミクス」という不満が出るほど有権者の世論も冷ややかだ。多くの庶民にとって、アベノミクスが約束した成長の結果は高嶺の花だったという指摘だ。「株式市場を維持するために国民の年金財源を注ぎ込んだ」という不満も出ている。

アベノミクスに対する不満が高まる中、「でたらめな政策を継承する候補は次期首相になる資格がない」という有権者の不満を、3人の次期首相候補たちは知らないのだろうか。

関連記事(外部サイト)