<W解説>世界で人気の韓国ドラマ「イカゲーム」と韓国の社会的背景と大統領の「約束」

<W解説>世界で人気の韓国ドラマ「イカゲーム」と韓国の社会的背景と大統領の「約束」

韓国ではムン・ジェイン(文在寅)大統領をドラマ「イカゲーム」のポスターに合成し、今の韓国社会の現実を「文在寅ゲーム」とやゆする人も現れた。(画像提供:wowkorea)

動画配信サービス「ネットフリックス(NETFLIX)」で配信中の韓国ドラマ「イカゲーム」が、世界的な人気を集めている。視聴数は先月17日の配信開始から27日間で1億1100万アカウントに達し、視聴数首位となった。非英語ドラマがネットフィリックスの視聴ランキングで首位となるのは初めてという。

イカゲームはこれまでに日本や米国、フィンランド、インドネシアなど、世界各国でネットフィリックスの「きょうのトップ10」で1位を獲得しており、人気の高さがうかがえる。

こうした驚異的なヒットを受け、韓国紙イーデイリーは米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」のスミ・テリー専任研究員の分析を紹介。テリー研究員は「今日、世界の数百万人が韓国文化に絶えず触れているにも関わらず、それがどのようにしてこのような大きな成果を収めたのかについて知る人はほとんどいない」とした。

また、「一国の文化的成長は、特定の創造産業を拡大するために政府が長年努力してきた結果だ」と評価した。イーデイリーは「『イカゲーム』を始めとする韓国文化コンテンツが世界的な成功を収め、韓国政府が長年にわたって力を注いできた『韓国文化侵攻』が現実のものになりつつあるとの分析が出た」と伝えた。

イカゲームは、多額の借金を抱えた人たちが456億ウォン(約42億3700万円)の賞金目当てに謎のサバイバルゲームに参加するというストーリー。登場人物が死を伴う危険なゲームに巻き込まれる様相を描く「デスゲーム」と呼ばれるジャンルの作品だ。

デスゲームに属する作品は、「バトル・ロワイアル」や「カイジ」、「神さまの言うとおり」など日本が数多くのヒット作を生み出してきた。そのためか、イカゲームのネットフィリックス配信が始まると、韓国ネットユーザーなどからは「日本のデスゲームのパクリでは?」などといった声も上がった。

日本でもヒットを飛ばしている「イカゲーム」だが、人気を博している理由について、聯合ニュースは「作品の構造や出演者の熱演のほか、昨年の米アカデミー賞で作品賞を含む4冠に輝いた『パラサイト半地下の家族』のように、社会的メッセージが反映されている点が理由として挙げられる」と分析している。

また、中央日報は大衆文化評論家の声を紹介。同紙の取材に応じた評論家は「『誰かを排除してこそ自分が生き残る』というサバイバルゲームを土台に、韓国社会が持つ弱者を転がして資本化する構造に対する批判的メタファー(やゆ)を鋭く表現した」と評価した。

作品からは若者の就職難やそこから派生する経済格差、不平等といった韓国の社会的背景をうかがい知ることもできる。

韓国の統計庁が先月28日に発表した「2020年死亡原因統計結果」によると、昨年韓国における自殺者は1万3195人で、前年比4.4%減となったものの、人口10万人当たりでは23.5人で、経済協力開発機構(OECD)加盟38か国・地域の中で最も多くなっている。

また、韓国経済研究院が、4年制大学の3〜4年生や卒業生など2713人を対象に行ったアンケート調査では、10人中4人が就職活動を諦めたとの結果が出た。同研究院が12日に発表した調査結果によると、求職活動を「休んでいる」(8.4%)または「ほとんどしていない」(33.7%)との回答は計42.1%に上った。「積極的に求職活動をしている」は9.6%にとどまった。

中央日報は、デスゲームに属する前述の日本の作品「バトル・ロワイヤル」がヒットした2000年代初期の日本について「バブル経済の崩壊によって生存競争が激しくなり、弱者の悲鳴があちこちから聞こえた時代だった」とし、同じデスゲームの作品が今度は韓国で登場したことに「時代的な兆候なのではと考えると、手放しでは喜べない」と指摘している。

韓国ではムン・ジェイン(文在寅)大統領をドラマ「イカゲーム」のポスターに合成し、今の韓国社会の現実を「文在寅ゲーム」とやゆする人も現れた。「イカゲーム」の中、主催者は熾烈な生存競争を繰り広げる参加者を観察しながら、約束は必ず守る。約束を守らない主催者のゲームには、誰も参加しなくなるからだ。

ゲーム参加者も極限の状況の中で約束は守る。約束を守らない参加者は結局は自滅するからだ。ムン大統領の退任まで残り僅か。ゲームを支配できるチャンスも数か月で終わりだ。今にでも日本との約束を守ることを自ら宣言し、歴史に恥ずかしくない「1番」、韓国大統領らしい姿を見せてくれることを期待したい。

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