<W解説>上陸の大統領は17年間の牢屋へ=韓国警察トップが竹島・独島上陸

<W解説>上陸の大統領は17年間の牢屋へ=韓国警察トップが竹島・独島上陸

イ・ミョンバク(李明博)元大統領(画像提供:wowkorea)

韓国警察のトップであるキム・チャンリョン(金昌龍)警察庁長が16日、竹島(韓国名・独島)を訪問した。現職の警察庁長が島を訪れるのは2009年以降、12年ぶり。

韓国は島に「独島警備隊」を常駐させている。ことし2月までは「義務警察」の隊員が配置されてきた。義務警察は警察の一種だが、正式な警察官ではない。軍人として強制徴兵される代わりに、韓国の若者が入隊し、警察業務をサポートする任務を担っている。

義務警察制度は、これまで兵役の軍務の代わりとなる制度として定着してきた。韓国では現在、成人男子に約2年間の兵役が義務付けられているが、義務警察の任務に就くことで兵役義務を果たしたことと同等に扱われる。

しかし、色々副作用もあり、韓国政府は2017年に「義務警察の段階的削減及び警察人力増員案」を打ち出し、翌年から義務警察の人員規模を毎年20%ずつ削減してきた。従って、義務警察制度は2023年に廃止となることが決まっている。

義務警察の廃止に伴い、独島警備隊も今年3月からは義務警察ではなく一般警察官が配置されている。現在は、独島警備隊の隊員全員が一般警察官だ。

警察庁長は独島警備の総責任者。キム庁長は16日、ヘリコプターで島を訪れ、隊員たちを激励した。

韓国の警察トップが竹島・独島を訪問したのは2005年3月のホ・ジュニョン(許准榮)庁長が初めてで、当時、外交通商部(現・外交部、日本の外務省に相当)から「議論が巻き起こる可能性がある」との懸念が出ていた中での訪問だった。

キム庁長は今回の島訪問について聯合ニュースの取材に「外交的な意味はなく、へき地に勤務する職員を激励するため」と説明したというが、日本政府は強く反発。林芳正外相は「到底受け入れられず、極めて遺憾」と述べ、韓国政府に強く抗議したことを明らかにした。

一方、竹島・独島には2012年8月には当時のイ・ミョンバク(李明博)大統領が現職大統領として初めて上陸した。日本は強く反発し、玄葉光一郎外相は武藤正敏駐韓大使(いずれも当時)を一時帰国させた。また、イ元大統領の島上陸により軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や経済連携協定(EPA)をめぐる日韓間の協議の継続が一時困難となるなど、日韓関係は悪化した。

イ元大統領が上陸を実行した背景には歴史問題などでの日本への不信感の高まり、大統領としての自身の求心力が低下し、支持率が下がっていた、などがあった。イ元大統領が2015年2月に出版した「イ・ミョンバク回顧録」には、上陸について大統領就任前からその意思を持っていたと記されている。

その後、韓国は島の実効支配をさらに強める動きを見せており、今年5月には「独島119救助・救急隊」と称する隊まで配備した。

また、今年6月には竹島・独島周辺で軍事訓練を実施。年に2回行っている訓練で、海軍と空軍、海洋警察が参加した。上陸訓練は行わなかったものの、新型コロナ禍にあっても例年とほぼ同規模で実施した。直後に日本政府は、外交ルートを通じ韓国側に抗議している。

2012年、イ元大統領の島上陸の直後、大統領支持率は異常に急騰していた。容易い反日キャンペーンはその陰の目的を達成した訳だ。しかし、日韓関係を犠牲にして容易い支持率を得たとして、彼は今どこにいるのか?

任期末に反日キャンペーンを行ったせいか、同じ保守系の後任パク・クネ(朴槿恵)前大統領も父親とは違って反日路線を維持し、セウォル号の事故が事件化し、国政壟断(ろうだん)の名で弾劾された。「ロウソク革命」で執権した革新系ムン・ジェイン(文在寅)大統領の反日キャンペーンは言うまでもない。

韓国としては島を実効支配中であるため、領土問題として騒ぐ必要は一切ない。騒ぐほど「紛争地域」となり、ICJ(国際司法裁判所)行きになる可能性が高くなるからだ。

しかし、イ元大統領は保守系の支持で大統領になったのに、保守系の伝統的な徳目である日韓友好を蔑ろ(ないがしろ)にし、2012年8月10日、島に上陸した。この日が、17年間の冷たい牢屋への出発点だったとすると、言い過ぎなのか?

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