韓国、北京オリンピックでジレンマ…中韓関係・終戦宣言が試験台に

韓国、北京オリンピックでジレンマ…中韓関係・終戦宣言が試験台に

韓国、北京オリンピックでジレンマ…中韓関係・終戦宣言が試験台に(画像提供:wowkorea)

米中の葛藤が激しくなる中で、韓国が再び政治的ジレンマに置かれることになった。

米ホワイトハウスは6日(現地時間)、中国新疆地区のウイグル少数民族弾圧をはじめとする人権蹂躙(じゅうりん)を理由に、来年2月の北京冬季オリンピックに対する外交的ボイコットの方針を明らかにした。米国は北京オリンピックに選手団は派遣するが、開会式と閉会式には政府使節団や代表団は送らないと決めた。中国は直ちに、このような米国の行動は「見せかけの行動」であり、「政治的ねつ造」だと反発し、北京オリンピックの開催には何の影響も及ぼさないと述べた。

韓国は慎重な立場を維持しつつ、状況を見守るムードだ。韓国大統領府の高位関係者は7日、「他国の外交決定について韓国が意味を付与し、どうこうすると言うのは適切でない」と言葉を控えた。韓国外務省も北京オリンピックが北東アジアと世界平和・繁栄に寄与し、南北関係改善の転機になることを望むという従来の立場を再確認した。

ただ、韓国としては米国の決定に賛同するかしないか、選択を回避することもできない状況だ。まず、同盟国との連帯を通じて、対中圧迫を強化しようとする米国が賛同を求める可能性も排除できない。米ホワイトハウスは、表面的に「外交的ボイコットは個別国家が決める問題だ」と述べている。しかし、アントニー・ブリンケン米国務長官は先月、同盟国と北京オリンピックの参加問題をめぐって活発に意見交換していることを明らかにしている。米議会レベルでは、同盟国が外交的ボイコットに賛同すべきだという、より積極的な声も出ている。英国、カナダ、オーストラリアなどはすでに賛同を検討しているという。

米国の北京オリンピックに対する外交的ボイコットは、ジョー・バイデン大統領が対中牽制(けんせい)のために、格別に力を入れている対中政策だ。韓国も参加する「民主主義首脳会議」を目前にして発表されたという点も、意味深長な部分だ。

だからといって、韓国が北京オリンピックの外交的ボイコットに賛同することも容易ではない。中国が米国とともに世界の秩序を二分する主要2カ国(G2)の一軸として浮上し、その隣国で開かれるオリンピックなのに、知らん振りするわけにはいかないからだ。特に、ソ・フン(徐勳)大統領府国家安保室長が、最近、中国天津で中国共産党の楊潔篪(よう・けつち)外交担当政治局長と会い、文大統領の北京オリンピック参席や、習近平中国国家主席の訪韓などを念頭に置いた、中韓高官級の往来について協議している。

中国からの報復も憂慮として残る。韓国としては、高高度ミサイル防衛システム「サード(THAAD)」の葛藤、尿素水とニンニク不足騒動など、中国から痛い目にあった記憶が依然として残る。米国を狙ったものだが、中国は北京オリンピックの外交的ボイコットに対して、必ず報復措置を取ると警告もしている。

米中葛藤と世界秩序再編の中で、安保同盟である米国はもちろん、経済的影響力が日増しに拡大する中国との関係を、同時に発展させなければならない韓国の外交安保の現実が、試験台に上げられたわけだ。

さらに、文政権が任期末まで力を入れている終戦宣言にも悪材料にならざるを得ない。文大統領が今年9月の国連総会で、米南北の3カ国または米中南北の4国終戦宣言を提案して以来、北京オリンピックは最も適切かつ最も効果的な舞台にあげられてきた。韓国は、米国と終戦宣言についての文案を具体化しており、中国からは支持と建設的役割の約束を取りつけた状態だ。

しかし、新型コロナオミクロン株の拡散に加え、国際オリンピック委員会(IOC)による北朝鮮の北京オリンピック参加不許可、米国の外交ボイコットなど、韓国の終戦宣言構想は打撃を受けている。ただ、韓国政府は終戦宣言と北京オリンピックが、直接的に関連していないという立場だ。これに関連して、政府当局者は「政府が北京オリンピックの時に、終戦宣言するというロードマップを設定したこともない」とし、「米国の外交ボイコットで終戦宣言ができないというのは、行き過ぎた解釈だ」と述べた。

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