“日韓関係”再構築の「特段カード」=韓国メディアのコラム
2021年12月23日 17時11分WoW!Korea

ことしに入り文在寅韓国大統領は「日韓関係の未来志向的発展」を強調する内容を幾度も発信している(画像提供:wowkorea)
今年に入りムン・ジェイン(文在寅)韓国大統領が発信したメッセージには「日韓関係の未来志向的発展」を強調する内容が目立って増えた。3・1独立運動記念のあいさつでは「過去にとらわれているままではいけない」とし「両国の協力と未来発展のための努力を止めない」と強調した。8月15日の光復節でも「両国が国境正常化以降、民主主義と市場経済という共通価値を基に、経済成長を共に成し遂げてきた」と評価し「両国の懸案はもちろん、新型コロナウイルス感染症と気候変動など世界が直面している脅威に対して、共同対応するための対話の門を開いている」と言及した。
わずか2〜3年前には、大統領の演説に出てくる対日認識は批判的であったり攻撃的だと感じられた。日韓関係が悪化した2019年の光復節には「誰も揺るがすことのできない国」を国家目標に掲げ「日本による不当な輸出規制に立ち向かい、責任ある経済強国に向かう道をしっかりと歩んでいく」と語っていた。また2020年1月の新年の辞でも、両国間の未来志向的協力関係の必要性を言及しながらも「その条件として」日本による輸出規制撤回を提示していた。
しかし文大統領は最近「特別な条件をつけずに」未来志向的な日韓関係再構築の方向性を掲げたことは、注目すべき変化だと考えられる。悪化した日韓関係が、韓国の安保や外交に与える否定的影響を再認識した結果によるものだと言うことができるし、今年発足したジョー・バイデン米政権が様々なルートを通じて日米韓協力関係の再構築の必要性を伝えてきたことが、影響を与えたとも言えるであろう。
問題は、文大統領が未来志向的な日韓関係再構築を一貫して強調しているにもかかわらず、実質的な進展がみられないことだ。外交部(外務省)をはじめとした韓国政府当局者たちが日本側の交渉相手と幾度も協議をもったが「互いの立場の違いと不信が容易に解消されない」という話が聞こえてくる。日韓関係が悪化したまま放置されれば、韓国の外交と安保政策に加重される負担はかなりのものとなる。毎年開催されてきた日中韓首脳会議および閣僚間協議も、ここ2〜3年間は停滞したままだ。さらに日本が主導しているCPTPP(TPP11・環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への参加もうまくいかなくなり、朝鮮半島の安保のために稼働されてきた日米韓安保会議など3か国間の協力にも障害が発生する恐れがある。
要するに「日韓協力の不在」は、まるでボトルネックのように韓国の外交と安保政策の発展をさえぎる壁になっているということである。
各政党の策士たちは現在、大統領選候補たちが直面する困難を打開するために、数枚の「特段カード」を準備している。しかし国全体の安保と外交のために、日韓関係の困難を打開するための「特段カード」が何よりも今必要である。
日本との信頼を回復させると同時に、韓国の国益にもなる日韓関係打開の方策は何なのか。それは、韓国政府が解散を決定した「和解・癒し財団」を正常化させることこそが、打開の糸口になるのではないかと考えられる。和解・癒し財団は、2015年の「慰安婦合意」により日本政府が拠出した10億円規模の資金を基に設立されたものだ。これまで、元慰安婦34人と遺族60余人に対して支援金が提供されたとされている。しかし韓国政府は慰安婦合意の再検証の過程で解散の決定を下し、そのような韓国側の措置により日本は「国家間の合意と国際法を破る国」として韓国を非難し、不信感を抱く要因になったのではないかと思われる。
このことを踏まえると、日韓関係の未来志向的な発展のための初めの一歩は、日本側に「和解・癒し財団の再構築方針」を提案し、今後の運営のために協議するということを明らかにすることだ。このことを経て財団運営の残額を元慰安婦事業に活用すれば、文大統領が強調している「被害者中心主義」にも合致するものになるのではないかと考える。大法院(最高裁判所)の判決に関する徴用工問題とは違い、政府次元で可能なこのような措置を通じて、日韓関係再構築の手順を見いだすことが、韓国の外交的孤立を脱皮するためにも必要だ。
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