中国の歴史学者5人が連名で「ロシアの侵略行為」を批判するメッセージを発表…中国国内の「民族主義」台頭にも憂慮

中国の歴史学者5人が連名で「ロシアの侵略行為」を批判するメッセージを発表…中国国内の「民族主義」台頭にも憂慮

中国の歴史学者5人が連名で「ロシアの侵略行為」を批判するメッセージを発表…中国国内の「民族主義」台頭にも憂慮(画像提供:wowkorea)

ウクライナ侵攻によりロシアが国際社会で孤立を深める中、中国政府はロシアの行動を非難せず、「侵略」という言葉の使用も避けている。しかし、最近になって5人の歴史学者が連名でロシアを批判するメッセージを発表し、注目を集めている。

彼らはメッセージで「ロシアにどのような理由・口実があったとしても、主権国家に対する軍事侵攻は国連憲章を基礎とする国際関係のルールを踏みにじるものであり、現在の国際安全体系を破壊する行為だ」と強く批判した。

このメッセージは26日に中国のSNS「WeChat」で発信された。しかし、数時間後にブロックされ、現在は中国国内のインターネットを通じて見ることができなくなっている。

メッセージを発信した教授の1人である香港大学の徐国キ(「キ」は王偏に「奇」/シュ・グォチー)教授はBBCの取材に対し「侵略は侵略であり、他の物にすり替えることはできない」と述べた。

徐教授と共にメッセージを発信したのは、南京大学の孫江(スン・ジィアン)教授、北京大学の王立新(ワン・リーシン)教授、清華大学の仲偉民(ジョン・ウェイミン)教授、復旦大学の陳雁(チェン・イェン)教授だ。

中国政府はロシアの侵略行為を公的に批判することを避けており、「侵略」という単語を使わず遠回しな表現を用いるなど、ロシアへの配慮を見せている。政府系メディアの報道においても親ロ的な態度を採用しており、ウクライナへの支持はあまり見られない。

また、厳しい統制を受けているSNSにおいては、親ロ反米をうたうコメントやウクライナの女性をばかにするような文面が氾濫。ロシア側に立つコメントが圧倒的に多い状況だ。

これに対し、徐教授は「我々は理性・良知により人々が狭苦しいな民族主義から抜け出すことを願う」と述べた。

公開メッセージはさらに「連日、インターネットを通じて戦況が伝わってくる。ウクライナの受ける傷が私たちを深く突き刺す。戦争によって蹂躙された経験を持つ国として(中略)私たちはウクライナ人民の痛みと苦しみに深く共感する」とウクライナ支持を鮮明にしている。

続けて「我々はウクライナ人民の国家防衛のための行動を断固支持する。我々はロシアの軍事行動がヨーロッパ及び全世界を動揺させ、さらに大きな災難を引き起こすことを憂慮する」とロシアの侵略行為を批判した。

このメッセージについて、フランスの歴史学者であるフランソワ・ゴドマン氏がツイッターにおいて「(彼らは)中国の歴史学者の誇りだ」と称賛している。

しかし、中国国内においては厳しい批判にさらされている。教授たちを「裏切者」「スパイ」などとするコメントや、「反戦を訴えながら反米は訴えない。(彼らは)何か悪いことを考えている」といった感情的なコメントがあふれている。

これについて徐教授は「民族主義が20世紀の戦争・紛争を招いた。第一次世界大戦・第二次世界大戦も狭隘(きょうあい)な民族主義の下で勃発した。盲目的な民族主義は中国だけでなく、全ての国家にとって危険だ」と述べた。

中国では研究者の学術的環境が年々厳しさを増しており、大学教授が発言内容を理由に処罰されたり、学生から通報されるといった事例がたびたび起こっている。

しかし、徐教授は「我々歴史学者は自己の独立した考えを持っていなければならない」とし、「彼ら(共同でメッセージを発信した4人の教授)はみな中国で名のある立派な研究者たちだ。それぞれ心の中に自身の『天秤』を持っている。私たちは反戦と平和を訴えているだけだ。大学教授の本来の責任は良知・正義を守ることである。もし、(我々が)宣伝用の機械になってしまったら、学者に何の意味があると言うのか」と語った。

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