尹錫悦氏の “安保政策”設計者「“クアッド”で国益実現を検討」

尹錫悦氏の “安保政策”設計者「“クアッド”で国益実現を検討」

韓国経済社会研究院のシン・ボムチョル外交安保センター長(画像提供:wowkorea)

韓国野党第一党“国民の力”のユン・ソギョル(尹錫悦)氏が次期大統領選挙に当選したことにより、韓国の今後5年の方向性が新たに設定されている。特に外交安保分野では、現在のムン・ジェイン(文在寅)政権とは大きく異なる「大変化」が予告されている。韓国の新聞社“ヘラルド経済”は、ユン氏の候補当時から外交安保政策本部の総括幹事として外交安保公約を設計してきた経済社会研究院のシン・ボムチョル外交安保センター長に、尹錫悦政権の対北・対外政策構想についてインタビューした。

シンセンター長は尹錫悦政権の外交安保構想について「北朝鮮に関しては原則を守り、米韓同盟を回復させていく」とし「『過去に比べて、より堂々とした外交・強固な安保を構築していく』というのがユン氏の考えだ」と語った。つづけて「米韓同盟を強化しながら、中韓関係では堂々とした立場を堅持する」とし「北核能力の高度化に合わせてそれ相応の抑止力を築き、国民の生命と財産を保護することにおいて積極的に取り組んでいくという点が強調されているようにみえる」と語った。

北朝鮮に対しては「実質的な成果を前提とした対話の扉を開けておくが、誤った行動をとればそれに応じた制裁や抑止力を強化する必要がある」とし「常識的な線において、この数年間、北朝鮮が韓国の国家資産を爆破したにもかかわらず、しっかりとした対応がとられなかったなど、これを守ることができなかった」と語った。つづけて「原則のある対北政策は “対北強硬政策”ではなく “正常な政策”だ」とし「このような原則を長期間一貫して推進する時、南北関係も正常化するだろう」と語った。

ただシンセンター長は「対北対話メッセージも、持続的に伝える必要がある」と語った。「いくらよい政策であっても、北朝鮮がそれに応えなければ成果を収めるのが難しいというのが南北関係の特徴だ」としながらも「たとえそうだとしても、朝鮮半島の平和構築のため政策を立て、北朝鮮に提示しながら説得するという一貫した姿勢も示さなければならない」と説明した。

これとともにシンセンター長は「米韓同盟の再建」と「包括的戦略同盟の強化」を改めて強調した。「ことし5月に日本で開催される “クアッド(Quad・日米豪印の4か国安保協議体)首脳会議”出席のためのジョー・バイデン米大統領訪日後、訪韓が実現するなら、これを積極的に活用する必要がある」と語った。

シンセンター長は「就任したユン大統領とバイデン大統領の米韓首脳会談というプランは、かなり包括的なものとなるだろう」と推測し「最も重要なのは、米韓が北核問題に対する共同のロードマップを作る方向において、合意が成されなければならない」とし「軍事安保と戦時作戦権の転換など、重大な事案も扱わなければならない」と語った。さらに「包括的同盟として進む過程で、経済安保協力・人権・規制規範など論議することが多いため、徹底して準備しなければならない」と付け加えた。

特にシンセンター長は「クアッドに関して、韓国の国益を実現する方案を積極的に検討する必要がある」と強調した。シンセンター長はまず「中国がクアッドに反対したことで、文政権は中国の要求を受け入れる姿勢をみせたが、中国の反対は不当であり文政権の対応も誤ったものだ」と批判した。つづけて「クアッドは軍事安保協力体でもなく、結束力も思ったより柔軟だ」とし「クアッドに関して色眼鏡で見て反対するのは、誤ったことだ」と指摘した。また「クアッドにより、我々の国益がどのように実現できるのかを悩むべき時期だ」とし「軍事安保の側面において負担になるなら、クアッドのワーキンググループから参加し試してみることもできる」と語った。

シンセンター長は、中韓関係について「中国が何かを言えば、われわれがそれを受け入れることで中国から圧迫されない状態が ”よい中韓関係”ではなく、本当の意味で関係発展も成されない」とし「中国が誤った要求をすれば『ノー』と堂々と言い、中国も韓国の要求を尊重する相互尊重の関係によって進むべきだ」と語った。

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