<W解説>韓国の「土用の丑の日」、「ポンナル(伏日)」に再燃した犬食をめぐる問題

韓国南東部のテグ(大邱)の市場で今月15日、複数の動物保護団体で構成する「動物圏対国民連帯」が犬肉市場の閉鎖を求めるデモを行った。韓国はこの日、日本の「土用の丑」の日に相当するポンナル(伏日)だった。伏日には滋養強壮・夏バテに効くとされる犬肉料理「ポシンタン(補身湯)」や鶏肉を使った滋養食「サムゲタン(参鶏湯)」を食べる習慣がある。

「動物圏対国民連帯」のメンバー約100人(同連帯発表)は、「国内3大犬肉市場」の一つである大邱の大邱チルソン市場でデモを展開。「犬の食用は人権蹂躙(じゅうりん)、撤廃すべき」と声を上げた。

長年、犬食文化が根付いてきた韓国だが、最近は若者を中心に、犬食を敬遠する人も多く、犬食文化は薄れつつある。国内3大犬肉市場は、大邱の同市場と、ソウル近郊のキョンギド・ソンナム(京畿道・城南)のモラン(牡丹)家畜市場、南部のプサン(釜山)のクポ(亀浦)家畜市場を指すが、現在は大邱の同市場のみが残っている。大邱の同市場一帯には、犬肉を食用として販売する店が14店舗ある。

韓国では昨年、犬を食用とすることを法律で禁止すべきか否かが議論となった。きっかけは、昨年9月、当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が「犬の食用禁止を慎重に検討する時期」との考えを示したことだ。

犬を保護すべきとする動物保護団体と犬食業界の団体の間で主張は真二つに分かれた。文氏が犬の食用禁止を検討するよう指示したことに畜産業団体「大韓育犬協会」の幹部は、当時、出演したラジオ番組で「非常に悲しい。大統領が妄言を吐いたといえる」とし、「犬食はキムチのようにグローバル化することができる」と断言。「食用とペット用を区分して管理すれば、全ての問題は解決される」と主張した。一方、動物愛護団体「動物自由連帯」の代表は、「現職の大統領が犬の食用問題に関心を持って下さったことを歓迎する」とした上で、「人間によって犠牲になる動物の数を減らしていくべきであり、既に高カロリーが問題となっているのに、犬まで食べなければならないのか」と述べ、犬食文化に異議を唱えた。大韓育犬協会の幹部が示した「ペット用と食用を別で管理する」という提案には、「現場では、その境界があいまいになっている。食用で育てようがペットとして育てようが同じだ」と反論した。

近年、ペットブームで、犬を飼う人も増え、犬を食用とすることに異を唱える人も増加した。「犬食用問題の議論のための委員会」が今年3月22~24日に全国の18歳以上の男女1514人を対象に行った意識調査では、「犬食文化を継承すべき」との回答は28.4%にとどまった一方、「犬の屠殺(とさつ)の合法化に反対」との回答は52.7%に上った。

犬食文化をめぐる論争が次第に白熱する中、韓国の食品医薬品安全処(食薬処)は昨年11月、見解を示し、「犬肉の食用または禁止に関する事項は、社会的に相反する見解により激しく対立しており、国民的合意が不十分な状況を踏まえると、これを法により規定するのは現実的に困難だ」とした。

先の大統領選でも犬食をめぐる問題は争点となり、愛犬家として知られるユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は候補時、犬の食用自体には反対の立場を示すも、法制化については「個人の選択の問題」として不要との考えを示した。また、今年6月には、夫の尹氏とともに愛犬家で知られるキム・ゴンヒ(金建希)夫人がメディアのインタビューに「(尹政権で)動物虐待と捨て犬の問題、犬食問題で具体的な成果が出るよう望む」とし、犬食問題に関して「零細な食用犬業界に業種転換に向けた政策支援をする方法もある。政策で解決できると考える」と踏み込んだ発言をした。

ポンナルを迎え、動物愛護団体は依然として解決されていないこの問題に、改めて主張を繰り広げた。前出の「動物圏対国民連帯」は、チルソン市場がある大邱の、ホン・ジュンピョ市長も犬を飼っていることから、ホン市長と飼い犬の写真が印刷された横断幕を掲げ「ホン市長の意志で(市場の閉鎖は)必ずできるはずだ」と訴えた。

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