<W解説>韓国・尹大統領の歴訪は失敗?弔問外交、首脳会談、暴言めぐり批判の嵐

韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は海外歴訪を終え、24日、帰国した。しかし、今回の歴訪は国内で酷評されている。野党は「外交惨事」などと批判を強めている。

尹氏は18日から5泊7日の日程で英国、米国、カナダを訪問した。19日には、ロンドンのウェストミンスター寺院で営まれたエリザベス英女王の国葬に参列した。しかし、尹氏は前日に予定されていた、女王の棺が安置されているウエストミンスター宮殿内のウエストミンスターホールへの弔問ができなかった。大統領室は「現地の交通状況などにより、当初の日程が遅れた」と説明しているが、「1、2時間でも早く出発すべきだった」などと批判が上がった。最大野党「共に民主党」のアン・ホヨン首席報道官は「尹大統領夫妻は一体何をしに英国に行ったのか。なぜ他の国の首脳は弔問できたのに、大韓民国の大統領はできなかったのか。尹政権が発足してまだ4か月だが、『外交惨事』だけが続いている」と批判した。

この後、米国に移動した尹氏は20日、ニューヨークで開かれた国連総会で一般討論演説を行った。尹氏は10番目に演台に立ち、「自由と連帯:「転換期の解決策の模索」をテーマに約10分間演説した。しかし、演説で北朝鮮については触れず、統一部(部は省に相当)のチョン・セヒョン元長官は、全体的にあいまいで修辞的な表現が多いとし「大統領室の演説秘書官がどんな人物なのか知りたい。大統領に国際社会でこんなにも恥をかかせるのか。おそらく北朝鮮は痛くもかゆくもなく、何を言っているのかもわからないだろう」と批判した。

21日(日本時間22日)には、滞在中のニューヨークで岸田文雄首相と約30分間にわたり懇談した。両首脳が対面で言葉を交わすのは、今年6月にNATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席するため訪れたスペインで短時間言葉を交わして以来約6か月ぶり。また、両国首脳が一定の時間をかけて協議するのは、2019年12月に当時の安倍晋三首相とムン・ジェイン(文在寅)大統領が行った会談以来、2年9か月ぶりのことだった。両首脳は、日韓最大の懸案である元徴用工問題などを念頭に、両国間の懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、未来志向で発展させていくことで一致した。

今回の面会について、日本政府は「懇談」と発表。一方、韓国メディアは「略式会談」との表現を使って報じた。この違いを問われた韓国外交部(外務省に相当)のイム・スソク報道官は、「形式よりも首脳同士が会ったこと自体が重要だ」と強調した。

韓国では今回の面会について評価が分かれている。大韓商工会議所は22日に論評を発表し、「韓日関係正常化の礎となる首脳会談開催を歓迎する」とコメントした。一方、最大野党「共に民主党」のキム・ウィギョム報道官は「ニュースを見ると、岸田首相がいるところまでわざわざ(尹氏が)行き、議論したそうだ」とし、「こんな屈辱外交があるか」と批判した。

さらに、尹大統領をめぐっては、21日にニューヨークで開かれた会合を終え立ち去る際、暴言を吐いたとして物議を醸している。その様子を取材陣が撮影しており、国内外の複数のメディアが報道した。報道によると、尹氏は自身を取り囲む側近らに「くそ野郎らが議会で承認しなければバイデン(米大統領)はメンツ丸つぶれだな」と発言したとされる。「くそ野郎」は米議員を指すとみられる。韓国野党などは「国の品格が崩れた」などと批判している。一方、大統領室は発言について、バイデン氏や米議会のことを言ったものではないと否定。「嘘で同盟国を仲たがいさせることこそ国益を自ら損ねる行為だ」と批判した。

尹氏は今回、バイデン氏との正式な首脳会談を行うことができなかった。バイデン氏が国内の政治日程などを理由にニューヨーク滞在期間を短縮したためとみられる。韓国が懸念している米国のインフレ抑制法についてや、北朝鮮問題などについてバイデン氏と議論を深める必要があったが、今回、立ち話で終わったことに野党などからは尹氏の外交力を疑問視する声が上がっている。

今回の尹氏の海外歴訪について、専門家らも「過程、形式、内容全てを間違えた」などと批判しており、オ・ジュン元国連大使は出演したラジオ番組で「外交成果にこだわると、こうした外交的失敗、無理をすることになる」と指摘した。

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