韓国の左派系教育監に1審で有罪判決…教育界にも打撃

韓国の裁判所がソウル市教育庁トップのチョ・ヒヨン教育監に対して、有罪判決をくだした。チョ氏には、韓国の教職員組合の一つである全国教職員労働組合に所属する解職教師を不当に採用した疑いがかけられている。チョ氏は代表的な左派系教育監で、韓国教育界にも影響を及ぼすものとみられる。

ソウル中央地裁は27日、職権乱用権利行使妨害、国家公務員法違反の疑いで起訴されたチョ氏に、1審で懲役1年6か月、執行猶予2年を言い渡した。特別採用について、試験による公開選考を規定した教育公務員任用令が、憲法に違反するというチョ氏側の主張は受け入れられなかった。裁判所は「チョ教育監が任用権者として、特別採用の手続きを公正に、透明に指揮・監督する義務がある。それなのに、公正な競争を装って、任用権者として権限を乱用した。ソウル市教育庁教員任用過程の透明性と公正性を毀損した」と明らかにした。

この判決が確定すれば、チョ氏は教育監の職を失うことになる。チョ氏は判決後、「無理な起訴が裁判で正されることを望んだ。しかし、失望した結果となった。直ちに控訴して、正せるよう最大限努力する」と述べた。

チョ氏は控訴の意思を明らかにしたが、左派系が強い教育界の萎縮は避けられないとみられる。チョ氏はソウル初の3選教育監で、左派系教育界でリーダーの役割を果たしている。全国市道教育監協議会長も務め、政府や国会を相手に市道教育監の意見を代弁する役割も担う。

教育界は教育監・市道知事ランニングメート制や、今後の地方教育財政交付金など、政界と調整しなければならない問題が山積している状態だ。教育監・市道知事ランニングメート制は、教育の政治化をあおるという教育界の憂慮が広がっているが、政府は行政の効率性と地方均衡発展などを根拠に賛成する立場だ。政界でも関連法案が発議されている。

地方教育財政交付金をめぐって協議する事案も多い。教育庁を通じて小・中学校の教育に使われていた地方教育財政交付金は、その一部を高校教育に回すようにした。今後、これをどのように調整するか議論する部分が多い。チョ氏は全国市道教育監協議会長として、政界や政府に「言いたいこと」を言ってきた。今後、裁判に集中することになれば、政府のカウンターパートとして、その役割が萎縮すると教育界でも憂慮している。

ソウルの教育でもチョ氏が力を注いできた事案が揺れている。ソウル市議会は今年の予算案を審査し、チョ氏が強調したディボット(デジタルデバイスの普及)と教育後見人、公営型私立幼稚園の支援予算などを削減した。クァク・ノヒョン前ソウル市教育監が主導し、チョ氏も趣旨を受け継いだ学生人権条例も廃止の危機にひんしている。一部の保守宗教団体と保護者団体による「ソウル市学生人権条例廃止汎市民連帯」が昨年8月、ソウル市議会に学生人権条例廃止を訴えたためだ。チョ氏が議会との意見調整など、能力を発揮しなければならないが、今回の判決で身動きしにくくなるという憂慮が教育界に広まっている。

このような裁判結果について、毎日経済新聞は27日付の社説で、「再び明らかになった左派の偽善」と、左派教育界を批判した。

「今回の判決で、口では公正を叫びながら反則と不公正を日常的に行う左派の偽善が再び明らかになった。チョ教育監は、刑が確定すれば職を失うことになるが、刑が確定する前に、高い道徳性が要求されるソウル教育のトップの座から降りるのが正しい」と主張した。

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