与党の視覚障害者議員が見せた国会議員の道理=韓国
2023年06月18日 10時49分WoW!Korea

韓国メディア「イーデイリー」によると、大声や罵声が飛び交う国会本会議場で、与党の視覚障害者議員に拍手と歓声が沸き起こり、話題になっているという。
同議員の発言後、立ち上がり拍手する議員もいて、与野党からは「感動が響き渡った」(パク・グァンオン民主党代表)、「議会政治を復元するための課題についても、重要な示唆を与える」(ユン・ジェオク国民の力代表)と称賛の声が相次いだ。
14日、国会の教育・社会・文化分野に対する対政府質問で、与党「国民の力」のキム・イェジ(金睿智)議員が発言した。この日、対政府質問の2番目の発言者として登場した視覚障害者でピアニスト出身の金議員は、「障害者であり、社会的弱者を代表する比例代表議員として、障害者の虐待犯罪に対する厳重な処罰のために、法律制定の必要性と実効性のある障害者政策のための予算拡大をテーマに、政府に質問したい」と発言を始めた。
金議員はハン・ドンフン(韓東勲)法相に、「発達障害者はときどき、被害の事実を自ら認識して申告することが難しく、通常、公益団体や機関の告発を通じて捜査が始まる。しかし、『検察捜査権の完全剥奪』の結果、告発者の異議申し立てする権利がなくなったため、警察が不送致を決定した場合、虐待した事実自体が永遠に、迷宮入りすることになる」と指摘した。そして、「人権を実質的に支える、頼もしい柵になってほしい」と付け加えた。
続いて、金議員は障害者団体が要求する障害者の権利予算の増額に触れ、ハン・ドクス(韓悳洙)国務総理に、「障害者にやさしい社会は、誰にとってもやさしい社会だ」とし、「尹政権の弱者福祉政策の核心である障害者政策を気にかけてほしい」と求めた。
金議員は質疑の間、発言の途中、点字で書かれた原稿を読みながら、政府に障害者政策の改善を冷静に求めた。声を上げることはなかったが、障害者虐待被疑者42%の執行猶予判決、4年間一度も活用されなかった刑事訴訟補助人制度、保健福祉省所管に80%偏重された障害者関連の予算など、具体的な根拠を示しながら説得した。
最も注目されたのは金議員の最後の発言で、「コイという魚は小さな水槽の中では10センチ程度をこえないが、川の水では1メートル以上に成長するという」とし、「まだ、韓国社会には社会的弱者と少数派の機会と可能性、成長を妨げるさまざまな水槽や水族館がある。国民が機会の均等の中で才能を存分に発揮できるよう、政府がより積極的に、川になることを期待している」と強調した。
金議員の質疑は、障害者を代表する比例代表議員として当然投げかけられる、論理的な問題提起であり、その態度も極めて常識的だった。特筆すべき点もない金議員の発言が注目された理由は簡単だ。これまで、国会が見せてきた姿ではなかったからだ。
国会常任委員会より注目度が高い対政府質問では、これまで無理な発言が多く出ていた。今回の対政府質問でも「福島原発の汚染水を年配の方に飲ませたらいけないので、首相の直系家族と一緒に飲んだらどうだろうか」(ユン・ジェガプ民主党議員)というような嘲笑混じりの指摘が話題になった。キム・ハンギュ民主党院内報道官は、韓首相に対して「侮辱した対象は若い女性政治家だ」と主張し、チョン・ジュンヘ国民の力院内報道官が「3日間、高圧的な姿勢と脅迫で一貫したのは誰なのか。稚拙なジェンダー分断だ」と強く反論した。
同紙は、金議員の発言について、「いつから当たり前の行動が賞賛される国会になったのか。声を上げなくても、政府の責任者を追い詰めなくとも、いくらでも主人公になれ、発言の内容も注目を浴びた。金議員の今回の発言が一度だけ注目されて終わるのではなく、国会が障害者の政策を見直すきっかけになれば、国会の文化が正常に戻るスピードもさらに速くなるのではないかと期待する」と述べた。
文化日報は16日の社説で、国会の悪習を指摘し、「無条件的な政府の攻撃、詭弁と扇動、一方的に怒鳴ったり、指差す行為など、その悪習を直ちにやめなければならない」と強調した。
金議員は世界日報とのインタビューで、障害者たちに必要なのは、一時的恩恵や特別な関心ではなく持続的な関心だと強調している。「ただ(障害者は)別の生き方をしている人であり、特別ではない。障害者のためには、別の生き方をしている人のための支援が必要なのであって、特別なことを配慮することは続かない」と述べた。
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