<W解説>”韓国の3分の1”サムスン「2代目」の死去、日本を知り尽くす「3代目」の刑事裁判の意味

<W解説>”韓国の3分の1”サムスン「2代目」の死去、日本を知り尽くす「3代目」の刑事裁判の意味

(画像提供:wowkorea)

”韓国の3分の1”と呼ばれているサムスン(三星、SAMSUNG)グループ。毎年、世界のあらゆる企業のブランド価値ランキングを発表する「Brand Finance」は今年の第5位企業として評価している。あのAMAZON、Google、APPLE、マイクロソフトに続くブランド価値である。経済誌「Forbes」のランキングでは、米国のその4企業の他、Facebook、コカコーラ、ディズニーに続く第8位企業となっている。日本のトヨタは11位にランクインした。

昨日、そのサムスングループ会長のイ・ゴンヒ(李健熙)氏が死去したとの韓国ニュースは日本でもリアルタイムに報道されている。故人は既に2014年5月に急性心筋梗塞で寝たきり状態になって以来、莫大な相続や株価に与える影響と言う点で、その闘病状態が数年間も関心を集めてきた。

1938年、朝鮮半島の日本統治時代、早稲田大学を中退した彼の父親 イ・ビョンチョル氏が「三星商会」を創業する。1945年の敗戦で日本が半島から撤収した後は、残された資産の払い下げを受けてから急成長する。1950年の朝鮮戦争を経て、繊維紡績業や建設業で成長を続ける。特に1965年の「日韓国交正常化」の以降は、貿易や電気・電子、石油化学分野の製品生産などで華々しく企業の規模を増やしてきた。

その後は日韓の皆が知っているとおり、半導体やスマホ事業で世界的なブランドとして成長した訳だ。いまやグループの売り上げとして韓国GDPの3分の1〜5分の1、輸出額では韓国輸出の3分の1〜4分の1、株式市場の時価総額としては3分の1ほどになっている。

海外ではあまり知られていないが、韓国国内では医療・製薬、保険・金融、メディア、教育分野までを席巻しつつあり、「サムスンのロゴマークを見ずには1日が過ごせない」との自嘲も聞こえてくる。まさに”韓国の3分の1”と言える状態だ。

今回死去した2代目の李氏と言えば1993年の”新経営方針”の「妻子以外は全て変えろ」で有名だ。しかし、そういった発言が出て来た理由と結果については意外と知られていないようだ。

1990年代くらいまで、韓国との取引経験のある日本人の間では有名な話だが、韓国企業に100単位の製品を注文したら、何と110単位の製品が届く。「何かの間違いなのでは」と問い合わせたら、大体5〜10%の不良品率なので、後日交換の手間を省くべく、余分に送っただけだとの回答を得たとのこと。

このような事情が2代目李氏の発言の背景であった。自社工場でホコリだらけになっていた電化製品の保管状況を目にし、また歩留まり率の悪さに接し、衝撃を受けたことだった。創業者の3男として生まれ、父親同様「早稲田大学」に留学し、東京千代田区の「新霞が関ビル」で働きながら日本の成功方程式を学んできたことが、その”眼目”を育ててきた。

彼の”新経営方針”はサムスンのみならず、他の韓国製造業の品質向上と歩留まり率の改善につながった。その結果、21世紀に入ってからの”メイド・イン・コリア”製品の品質・ブランド価値はそれなりのものとなった。

この点、日本留学や日本企業との深い交流から”知日派”としての2代目李氏の業績は称賛されつつある。同時に、週末ごとに日本人技術者らを秘かに招き、技術”指導”を受けていたと言う「急成長の秘密」も指摘せざるを得ないだろう。

日本からの影響だけでない。スマホ時代が開幕した2007年以降は、日本に対する影響も大きかった。日本人の生活を変化させたスマホアプリ「LINE」の母体はサムスンの社内ベンチャーだった。”サムスン発祥”または”サムスン起源”の経緯があるのだ。数十年間、日本を見てきた会長を持つ韓国企業としては、当然な結果だったのかもしれない。

サムスンを今のような「半導体・スマホ王国」、「世界ブランド価値5位」、「韓国の3分の1」のトップ企業に育ててきた彼の人生最後の日、その翌日に予定されていたのは息子の刑事裁判だった。

今日、韓国で”3代目の李氏”イ・ジェヨン(李在鎔)サムスン電子副会長の裁判が開かれた。喪主を務めている3代目はさすがに出廷できなかったが、今の革新系の韓国政権の治下で既に1年間の牢屋を経験している。

”韓国の東大”「ソウル大学」を卒業し、祖父や父親と同じく日本に行って「慶應義塾大学」に留学していた3代目。父親を失った悲しみを乗り越えながら相手にしないといけないのは、世界のトップ企業ではなく、韓国の政権である。彼がこれからどのような対応をするのかが注目される。彼の戦いは「革新 vs 保守」の戦いであり、「反日 vs 知日」の戦いであり、「過去 vs 未来」の戦いでもあるからだ。

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