アヘン混入「ニセ医薬品」販売で捕まった薬剤師に北朝鮮国民が同情

アヘン混入「ニセ医薬品」販売で捕まった薬剤師に北朝鮮国民が同情

穀物加工工場を視察した金正恩氏(2016年6月16日付労働新聞)

アヘンが赤痢の治療薬、と言われてもピンと来ない読者も多いだろう。抗菌剤のなかった19世紀、アヘンは赤痢など下痢を伴う感染症を含めた万能薬のような扱いをされていた。

国立感染症研究所のウェブサイトによると、細菌性赤痢の治療にはニューキノロン系抗菌剤と、脱水を防ぐための生菌整腸剤が併用して使われるとなっており、アヘンの使用に関する記述は一切ない。

ところが、医薬品不足に苦しむ北朝鮮では、未だに赤痢の治療薬としてアヘンを使用しているようだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、清津(チョンジン)市安全部(警察署)は、国内有数の市場である水南(スナム)市場で、アヘン入りの薬を製造、販売したとして、40代女性を逮捕したと伝えた。

薬科大学を卒業し、病院の調剤室で働いた経験を持つこの女性は取り調べに対し、昨年11月から、赤痢とパラチフスの症状の腹痛と下痢に効果があるとして、アヘンに他の薬を混ぜたオリジナルの薬を大々的に販売したことを認めた。

また、順川(スンチョン)製薬工場製と書かれたラベルをパソコンで偽造し、国営工場の製品を装い、高値で販売した。

衛生環境が良好とは言えない北朝鮮では、赤痢とパラチフスなど様々な感染症がしばしば流行していると伝えられる。宣伝文句だけの無償医療制度で治療費がなければ適切な治療が受けられず、コロナ鎖国で医薬品不足が深刻化する状況で、人々は正体不明の薬に飛びついたようだ。

自分の売台(ワゴン)での販売に留まらず、他の薬商人に卸売りまで行なって荒稼ぎしていたこの女性だが、誰彼かまわず取引するわけではなかったようだ。そして、売れ筋の商品を分けてもらえなかった商人の通報で、逮捕に至ったというのが事の顛末のようだ。

取り調べで女性は、「夫と2人の息子を食べさせるのに精一杯で、仕方がなく薬を自主開発し、製造販売を行なってきた」と主張した。しかし、麻薬を使った違法な薬を製造・販売し、かなりの儲けがあったことがわかり、7年の労働教化刑(懲役刑)が予想されているとのことだ。

当局はまた、第3放送と呼ばれる有線ラジオで、3日間にわたって女性の名前と罪状を連呼し、その「悪行ぶり」を強調した。

ところが、住民の間からは「道内で蔓延している伝染病や病気に効果がある、実際にこの薬で多くの人が助かった」と女性に対する同情の声が上がると同時に、「国ができないことを個人がやって、人を助けたのだからいいじゃないか」と、国の無策と重罰を批判する声が上がっていると、情報筋が伝えた。

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