北朝鮮軍でまん延「仮病ビジネス」に当局がメス

北朝鮮軍でまん延「仮病ビジネス」に当局がメス

労働党第8回大会記念軍事パレード(2021年1月15日付朝鮮中央通信)

最近になって短縮されたとは言え、世界最長であることに変わらない北朝鮮の兵役だが、徴兵された若者たちは非常に苦しい生活を強いられる。旧日本軍を逆ベンチマーキングしたかのように補給が杜撰で、食糧の輸送過程での中抜きや横流しが横行。兵士たちは韓国軍や米軍ではなく、飢えとの戦いを強いられている。

そのため、かねてから兵士の集団による食糧強奪事件が多発していたが、コロナ鎖国下で食糧難が広がる今、軍の食糧事情がより一層深刻化していることは、想像に難くない。

そんな状況から抜け出したいと考えるのはごく当たり前のこと。軍医所の幹部と医師はそれを利用してカネ儲けに走った。

平壌のデイリーNK内部情報筋は、郊外の兄弟山(ヒョンジェサン)区域にある朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の軍医所(軍の病院)で、長年に渡って不正行為が行われてきたことが発覚し、国防省の検閲を受けたと伝えた。

軍医所の幹部と軍医は、兵士からワイロを受け取り、肝機能不全や結核を患っているとニセのカルテを作成し、何年にも渡って入院させていた。

療養と称して数年をのんびりと暮らした兵士は、そのまま除隊したり、朝鮮労働党への入党が近づいてから部隊に復帰したりしていた。自由に外出させたり、帰宅させたりしたケースもあり、やりたい放題だった。

このような虚偽診断書の作成は、以前から存在していた。幹部による不正行為の摘発キャンペーンが繰り広げられる中でも、この軍医所が不正を続けられたのは、面倒をもみ消してくれる強力なバックがあってのことだろう。

しかし、派手にやりすぎたのだろうか、或いはバックを失ったのだろうか。入院する兵士の数が急増したことに疑問を抱いた一部の部隊が、国防省に問題を提起し、それが受け入れられてしまった。

大々的な不正の証拠をつかんだ国防省は、軍医所に対する検閲を実施。入院患者全員を再検査したところ、約半数がニセ患者であることが判明した。

そればかりか、病気で苦しむ本物の患者には注射薬を提供せず、家から仕送りを受け取っていたニセ患者にばかり点滴や注射を行うなど、差別的な扱いを行なってきたことも判明。不正行為は病院幹部や軍医のみならず、末端の看護師の間にもまん延し、軍医所全体が不正まみれである実態が暴露された。

軍医所長は解任、撤職(解任)され、軍医や看護師は不正行為への加担の度合いに応じて、人事異動が行われた。国防省は、同様の不正行為が他の軍医所でも起きていると見て、検閲を行う方針だ。

配給が途絶え、まともに生活できる月給が支払われていない地方ならともかく、待遇が比較的良いはずの平壌の軍医所で、大規模な不正行為、それも最近になって、その程度がひどくなったことは、平壌ですら食糧事情が逼迫していることの証拠と言えよう。

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