金正恩一家の大規模「コロナ舞踏会」の悲惨な結末…誰も中止を言い出せず

金正恩一家の大規模「コロナ舞踏会」の悲惨な結末…誰も中止を言い出せず

金正恩(キム・ジョンウン)氏(朝鮮中央通信)

北朝鮮では毎年4月15日、金日成主席の生誕を記念する「太陽節」が盛大に祝われる。各地で関連行事が行われ、国営の朝鮮中央通信は先月16日付で、その様子を次のように伝えた。

4月の春の祝日を迎えた人民の感激と歓喜が溢れる中で15日夕、平壌では青年学生の夜会および花火の打ち上げが行われた。

各通りに暗闇が訪れると、市内の青年学生が金日成広場に集まってきた。

招待席をはじめ広場の周辺も、うっとりする花火の世界を見るために集まってきた市民でにぎわった。

首都の夜空に「太陽節を歌う」の歌が響き渡り、青年学生の夜会が始まった。

青年学生たちは、この地に自主、自立、自衛の社会主義国家を打ち建てた金日成主席への切々たる懐かしさを抱いて祝賀の踊りの輪を広げた。

とてもコロナ対策の超特級非常防疫措置下にあるとは思えない状況だが、この時期に無謀とも言えるイベントを開催した結果は、非常に厳しいものだった。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、15日に清津(チョンジン)で開かれた太陽節慶祝舞踏会で、クラスターが発生した。

行事は市の安全部(警察署)、防疫所、非常防疫委員会の係員が、会場の入口で参加者の体温測定を行い、マスク着用しているかを確認するなど、コロナ対策に万全を期した上で行われた、はずだった。

しかし、ただでさえ娯楽が少ない上に、コロナ鎖国で閉塞感が広がる今の北朝鮮である。久々の大々的なダンスパーティに人々は熱狂し、マスクを脱ぎ捨てて、ペアになって踊り歌い、当局もコントロールができないような状態になっていたようだ。

それから5日後。参加した人々の間で発熱や喉の痛みなどを訴える人が多数現れた。多くの人が病院に詰めかけて診断書を受け取り、品薄になっている薬を探し歩くなどの現象が起きた。

尋常ならざる空気を察知した非常防疫委員会は、患者の家々を訪ね歩き、一歩たりとも外に出ないよう警告し、玄関ドアに「隔離」と書かれた紙を貼り付けた。まずは15日間の1次自宅隔離を、期間終了後も15日間の2次自宅隔離を行わせ、症状を観察することにし、人民班長(町内会長)には、患者の動向を監視するように指示した。

当然、仕事にも買い物にも行けなくなるが、情報筋は隔離対象者に当局から食糧支援があったかについて触れていない。従前の自宅隔離では、逃げ出す人もいれば、飢えに耐えかねて自ら命を絶つ人も現れている。

また人民班、機関、工場、企業所、大学ごとに、行事に参加した人を対象にした検査が実施された。とは言っても、PCR検査や抗原検査ではなく、体温測定、眼の検査、症状の有無を問うのがすべて。住民の間からは「本当にコロナなのかどうか、国もわからないのではないか」(情報筋)と、当局のコロナ対策を鼻で笑うようなことを言っているとのことだ。

咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)でも、昨年8月28日の青年節に行われた舞踏会で大規模クラスターが発生し、重症者40人、軽症者120人という事態となっている。今回、清津で発生したクラスターでの感染者数は不明だが、同じ過ちをまた繰り返してしまったようだ。

昨年12月から施行されている超特級非常防疫措置では、あらゆる集まりを禁止しており、実際に私的な飲み会を開いて摘発され、違反者は管理所(政治犯収容所)送りにし、程度がひどい場合には銃殺刑も適用している。

しかし、今回は金日成氏の生誕を祝う集会とあって、いくら感染対策とは言え、中止や延期を主張すれば逆に政治犯に問われかねず、予定通り行わざるを得ないだろう。コロナ対策よりも、国民の健康よりも、金氏一家関連行事が優先されるのは、実に北朝鮮らしい出来事だ。

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