コロナ禍の北朝鮮社長が手を伸ばす「禁断のクスリ」の致命的な副作用

コロナ禍の北朝鮮社長が手を伸ばす「禁断のクスリ」の致命的な副作用

北朝鮮産のモルヒネのパッケージ。「アヘン粉」と書かれている。

北朝鮮の故金正日総書記は1980年代、「白桔梗(ペクトラジ)事業」の名の下にアヘン栽培を始めた。また、覚せい剤の製造にも手を染め、輸出して多額の外貨を稼ぎ出したのだが、それが横流しを通じて国内でも流通。

さらに、不足する医薬品の代用品として使われたりするなどして、中毒者が急増した。いつしか北朝鮮は、ジャンキーの国に転落してしまった。

2013年に刑法を改正し、「不法アヘン栽培・麻薬製造罪」を新設、取り締まりに乗り出した効果で一時ほどの蔓延ぶりではなくなったが、根絶には至っていない。それどころか、21世紀版の「白桔梗事業」に乗り出そうとする者もいる。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、穏城(オンソン)郡の銀河貿易会社の復数のイルクン(幹部)が逮捕されたと伝えた。

北朝鮮は昨年1月、コロナ対策として国境を封鎖、貿易を停止させたが、対外経済省は今年4月、貿易会社からワック(輸入取扱い枠)の申請を受け付け、ようやく貿易が再開されるのではないかと期待が高まった。ところが、実際に貿易が許されたのはごく一部の貿易会社に限られ、ほとんどの貿易会社は貿易を再開できずにいる。

当局は「今年の外貨稼ぎ計画(ノルマ)を達成できていない単位(企業、機関)は、国境が開き貿易が再開されたとしても、貿易を認めない」との方針を下した。貿易を認めてほしければ、国内で流通している外貨をかき集めろということだ。

これに頭を抱えた銀河貿易会社のイルクンは、外貨を稼ぎ出す方法をあれこれ考えた挙げ句、覚せい剤の製造を行うことにしたのだ。早速、覚せい剤の「名産地」として知られる咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)を招き、化学実験用の設備を作らせ、1年間に渡って覚せい剤を製造、密輸して外貨を稼ぎ出し、労働党に上納した。

秘密裏に行われていたプロジェクトだが、どこからか話が漏れ、同社のイルクンら関連者全員が、咸鏡北道保衛局(秘密警察)に逮捕されてしまった。北朝鮮でも公には、覚せい剤は「禁断の商品」なのだ。

咸鏡北道検察所は、彼らだけで覚せい剤の大々的な密造、密輸はできなかった、現地の保衛部、安全部、地方政府の幹部の庇護の下で行っていたと見て、容疑者を次々に連行し、取り調べを行っている。

また、関連者全員の自宅の家宅捜索を行い、うち一人の家のキムチの瓶と床下から多額の中国人民元と米ドルが発見され、密輸に加担していた中国側の業者が脱北幇助を行う集団に属しているとの噂も流れ、事がどんどん大きくなっている。

今の時点で、彼らに対する処罰は下されていないが、決して軽く済まされないものと思われる。判事たちは無期懲役や死刑になるのではないかと噂しているとのことだ。

今月初めに開かれた最高人民会議常任委員会第14期第15回総会では、麻薬犯罪防止法が新たに採択されている。詳細は不明ながら、2日付けの朝鮮労働党機関紙・労働新聞は「国家社会制度の安定と人民の生命、健康を害する違法行為を未然に防止するための条項と当該法の履行に乗り出す原則的問題が具体的に明示された」と報じている。

刑法に麻薬製造、密売を罰する条項が存在するのに、重複する法を採択したのは、麻薬、覚せい剤関連の犯罪に対して厳正に対処する姿勢を示したものと思われる。

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