北朝鮮、中国アプリ「WeChat」使用者をスパイ容疑で摘発

北朝鮮、中国アプリ「WeChat」使用者をスパイ容疑で摘発

金正恩氏(朝鮮中央テレビ)

WeChatとは、中国で広く使われているメッセンジャーアプリだ。外国との通信が事実上、禁止されている北朝鮮の人々が中国や韓国と連絡を取る場合、かつては音声通話が使われていたが、コストと保安面でメリットがあるとしてWeChatを使う人が増えた。北朝鮮当局は、このWeChatユーザーを、問答無用でスパイ扱いしている。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、今月初めに国家保衛省(秘密警察)が両江道保衛局(秘密警察)に対して、中国の携帯電話の使用者を最後の一人まで根絶やしにせよとの指示を下したと伝えた。

この指示には、スマートフォンにWeChatのアプリがインストールされている場合、無条件でスパイ容疑を適用せよとの一文も含まれている。国境沿いの地域に住む住民が、WeChatを使って外部との連絡をしてきたことを認識し、このような指示を下したものと思われる。

住民の携帯電話を押収した場合には、WeChatアプリがインストールされているかを確認し、メッセージのやり取り相手を割り出す作業が行われている。

今月3日、恵山(ヘサン)に住む送金ブローカーのチェさん(40代女性)は、保衛部の情報員(スパイ)と知らずにカネを渡してその場で逮捕された。

保衛員は、押収したチェさんのスマートフォンを使い、Wechatに登録された相手に、チェさんであることを装ってメールのやり取りを行い、送金の話だけしていたのか、或いは海外に流出させてはならない国内情報を流していたのかの確認を行っているという。

さらに、相手を割り出して送金を押収したりもしたりしている。送金ブローカーのみならず、韓国在住のクライアント、つまり脱北者のリストの獲得にまで成功したということだ。

このような情報は、北朝鮮に残してきた家族を通じて、脱北者に帰国を誘導するのに使われると思われる。

また、「テレビやYoutubeに出演して北朝鮮のことについて語れば、家族が無事では済まされない」などと脅迫するのにも利用される。

韓国に住む3万人あまりの脱北者のうち、約3分の2が北朝鮮に残してきた家族に送金をしたことがあるという調査結果があるが、彼らの送金が、北朝鮮の市場経済化のベースとなり、地域を豊かにするだけではなく、その一部を「手数料」として受け取る保衛部にも利益をもたらしていた。

このような取り締まりが強化されれば、脱北者は自身や家族の身の安全のため、むしろ送金を避けるようになり、その結果、経済的に困窮するのは北朝鮮の方だ。それでも、国内情報の流出防止を優先しなければ、体制が揺さぶられかねないと判断しているのだろう。

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