穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

穀物販売権の独占を目指すも後退を強いられた北朝鮮

2019年7月に撮影された両江道恵山市の市場(デイリーNK=カン・ドンワン東亜大学教授)

米国の戦略国際問題研究所(CSIS)は2017年、脱北者ではなく、北朝鮮に暮らしている国民36人を対象に、特殊な手法を使って調査を行った。その結果、72%にあたる26人が、ほぼすべての家計収入を市場での活動で得ていると答えた。つまり、国営企業や国の機関から得られる給料、配給で生活を維持している人は少数ということだ。

それだけあって、北朝鮮の人々は市場の営業時間の短縮に敏感だ。当局が各種動員、コロナ対策などを理由にして営業時間を短縮すると、人々は強い不満を抱く。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は、今月から市場の営業時間が延長されたことについて報じている。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、午後3時から6時までに制限されていた市場の営業時間が、今月初旬から午前9時〜午後6時へと大幅に伸ばされたと伝えた。

また、平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、食糧販売権を独占していた食糧収買商店(国家食糧販売所)が、市場での食糧販売を認める措置を取ったと伝えた。すると、今まで姿を消していた穀物商人が再び現れ、商店から奉仕員の資格を得て確認証を受け取り、市場での穀物の販売を行うようになった。

ただし、国が定めた価格での販売を強いられ、価格を勝手に変えることに対しては厳しく統制されている。また、奉仕員の資格を得るには45歳以上でなければならず、登録費として毎月100元(約1870円)と市場管理費(ショバ代)80元(約1000円)を納めなければならない。

北朝鮮は、以前は市場で自由に売買されていた穀物の販売を「国営米屋」である国家食糧販売所に一本化し、市場での販売を禁止することで、穀物の価格を安定させようとした。この政策については、それまで自由だった市場に対する統制強化の一環と見られていたが、あまりうまく行っていないとの指摘がなされていた。

安定した価格でコメの購入ができるようになったが、国民の間で不満が高まった。市場ではコメの質を見て値段交渉をしつつ購入できたのが、国家食糧販売所では質の良し悪しを見ることができないまま、決められた値段で購入することを強いられたからだ。

今回の措置は消費者から好評だが、国が食糧販売権を使って二重三重にカネをむしり取っているとの指摘もある。

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