北朝鮮軍人と民間人「禁断の関係」に金正恩がメス

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AIざっくり要約

  • 北朝鮮では軍人と民間人の交流が禁止となり監視が強化された。
  • 過去には軍人と民間人の癒着が問題視されており、密輸や脱北事件の原因となっていた。
  • 今後、両者の距離の取り方が実情に合っているのか注目されるが、壁建設の強化など締め付けが強まる傾向にある。

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北朝鮮軍人と民間人「禁断の関係」に金正恩がメス

朝鮮人民軍の兵士(デイリーNK)

北朝鮮で非常に重要視される「軍民関係」とは、文字通り軍人と民間人の関係を指す。お互い良好な関係を維持してこそ、国が保たれるという考え方で、そのために民間人は、軍人にごちそうを振る舞ったり慰問品を伝達したりすることを求められる。それのみならず、普段から部隊周辺の民間人とは持ちつ持たれつの関係だった。

軍人が民間人を相手に窃盗や暴行などの犯罪に及んだ場合には、「軍民関係を既存する行為」として厳しく罰せられる。

ところが、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)は最近になって、意図的な「軍民関係の毀損」に乗り出した。詳細を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

朝鮮人民軍総政治局は今年10月12日、「部隊の許可なく住民と接触した軍人を処罰することについて」という指示文を各部隊に下した。また、社会安全省は11月9日、「特別な理由なく軍人との接触を試み、軍人の警備区域を侵犯した者を厳重に処罰することについて」という警告文を、各人民班(町内会)に下した。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、「最近は道端で軍人と会っても挨拶すらできない」と現状を伝えた。下手に会話を交わせば、軍人は人民軍の警務部(憲兵隊)に、民間人は分駐所(交番)に連行され、「なぜ会って話をしたのか」について取り調べを受ける。事実確認書を作成し、両者のものを照らし合わせた上で、内容に齟齬がないことを確認してようやく解放される。齟齬があれば何日にもわたって取り調べを受けるはめになる。

軍人と民間人の一挙手一投足は、青年同盟の「不良少年グルパ(取り締まり班)」、準軍事組織の労農赤衛軍の労働者糾察隊、社会安全省(警察庁)の機動巡察隊、機動打撃隊、地域担当の安全員(警察官)、保衛員(秘密警察)により何重もの監視を受けている。

軍人と民間人を引き離す一連の措置について、別の情報筋は、様々な違法行為が背景にあると語る。

「市場で流通する医薬品からガソリン、ディーゼル油、食糧、軍服、さらには塩に至るまで、民間人と結託した軍人が部隊から横流ししたものだ。それがなければ市場は立ち行かなくなる」(情報筋)

一例を挙げると、軍が協同農場から得た軍糧米は、本来なら部隊に届けられ、軍人たちの腹を満たすはずだが、流通過程で横流しされてしまう。また、より安いトウモロコシに入れ替えられることもある。その過程には民間人も介入している。

かくして軍人たちは充分な量の配給が得られず、空腹に耐えかねて周囲の民家や農場を襲撃する。

問題はそればかりではない。

「国境沿線(国境沿いの地域)で日常化している密輸、脱北、国の秘密の漏洩も、軍人とグルになった民間人の仕業だ」(情報筋)

軍民一致の原則を毀損してでも、このような悪循環を断ち切りたいというのが、金正恩総書記の思惑だということだ。ただ、このようなやり方が成功するかは、「しばらくしてみないとわからない」と情報筋は評している。

「軍人と民間人の癒着は、お互い必要な生存手段であるため、金正恩氏の意図だけで断ち切れるかはわからない。特に民間人の助けを得ることは末端兵士にとって死活問題だ」(情報筋)

軍人と民間人は、相互依存してこそ生活が成り立つ。そんな現実を無視した今回の命令だが、下された直後は厳しい取り締まりが行われるが、実情に合っていなければ、時が経つにつれ有耶無耶になるのが今までの法則だ。

コンクリート壁など国境での障害物の建設は、無理と言われながらも進み、密輸や脱北は非常にハードルが高くなってしまったことを考えると、なかったことにされるとは限らないのだ。

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