制裁で帰国の北朝鮮労働者、借金取りとのトラブル続出

制裁で帰国の北朝鮮労働者、借金取りとのトラブル続出

ウラジオストクの北朝鮮派遣労働者(資料写真)

国連安全保障理事会で2017年12月22日に採択された制裁決議2397号に基づき、ロシアは自国内の北朝鮮労働者を期限までに帰国させる方針を取ってきた。ウラジオストク市内の北朝鮮レストランでは依然として北朝鮮出身の従業員が働いていると言った報道があるなど、徹底されているとは言い切れないが、多くの人が帰国を余儀なくされたことには違いない。

彼らの帰国を巡っては、様々なトラブルが噴出している模様だ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平安南道(ピョンアンナムド)殷山(ウンサン)の情報筋は、現地ではロシアから帰国した労働者と、ヤミ金業者との間の争いが頻繁に目撃されていると伝えた。

様々な名目で搾取されるとはいえ、ロシアへ派遣されれば北朝鮮国内よりは多くの現金収入を得られる。労働者を選抜する権限を持った機関や部署の幹部らは、ワイロを受け取り、審査に手心を加える。ワイロの額は時期や条件により異なるが、黄海北道(ファンヘブクト)の情報筋が2016年2月に明らかにした額は1人あたり1000ドルだった。

昨年末にロシアから帰国した平安南道の住民によると、ワイロを払うべき対象は居住地の保安署(警察署)、保衛部(秘密警察)、所属する工場や企業所の党委員会、身体検査を行う病院など多岐にわたる。内閣林業省で最終面接を行う前には、さらに高額のワイロが必要となる。

殷山出身の労働者がいくら払ったのかについて情報筋は言及していないが、3年の契約で働くはずだったのに1年足らずで帰国させられたため、ワイロを支払うために借りたカネの返済が行き詰まり、トラブルになっているというのだ。

すっからかんになって帰国した労働者は、返済を迫る業者に「借りたカネはすべてワイロとして差し出したのだから、党に行って受け取ってくれ」と応酬している。元金だけでも返してくれと懇願する業者もいれば、暴力的な取り立てを行う業者もいるとのことだ。

一方、「今年中にまたロシアに伐採の仕事で派遣されるから返済を待ってほしい」と頼み込む労働者もいる。しかし、情報に明るい業者は「国が核とミサイルを放棄しない限り制裁は解かれない、労働者が海外に派遣されることはない」と見抜いており、返済を強く迫っている。

昨年来、借金を返す目処が立たないまま帰国を強いられ、絶望のあまり自ら命を絶つに劇的な事件が相次いでいる。

そんな状況だが、当局はあたかも金正恩党委員長のおかげで帰国できたかのような宣伝を行っている。

平壌在住の華僑は、当局が「元帥様(金正恩氏)のご配慮で懐かしき祖国に戻り、楽に暮らせるようになった」などと、人民班(町内会)の会議などの場で、住民に宣伝していると伝えた。

それが大嘘だと知っている人も少なからず存在するが、金正恩氏の名前で行われる宣伝に、ケチを付けると政治犯にされかねないのでおとなしくしているという。

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